「あなたが消えた夜に」(中村 文則 著)読了。「人間存在を揺るがす驚愕のミステリー」というのが、自分にはかなり難解だった【書評】

この作者の本は、何かと呼んではいるので、最新刊が出た時に、手にとってみました。

読了直後のレビュー(ブクログレビュー)

読書日数 41日

とある町で起きた連続殺人事件。「コートの男」が捜査上に浮上するのだが、実は、ある1人の女性に関わる、複雑怪奇な人間模様が織りなす事件であった。

所轄の刑事と、風変わりに女捜査官との奇妙なコンビが、その真相に迫っていくのだが…

この作品は、今まで自分が読んだ作品のなかでは、難しいというか、長いというのもあったけど、ちょっと読み終わるのに苦戦した作品。

でも、第3部からは、筆者らしい終わり方なのかなと感じた。

「連続殺人」は、ほんとうに行われていたのか?

とある町で、突如「コートの男」による連続殺人事件が起き、その調査に乗り出す所轄の刑事 中島と捜査一課の女刑事 小橋のコンビ。中島は、幼少期の頃に起きた火事のトラウマを抱えているが、仕事は実直にこなすのに対し、小橋は、女子ではありながら、なかなかの性格が屈折していて変わり者。そんな2人が、この連続殺人事件の謎に迫っていくというストーリーとなっています。

ただ、この事件、調べれば調べるほど謎が深まっていくのですが、最後の最後に「どんでん返し」が待っています。その辺りのことは、この作品を読んでもらえればと思います。

心の「闇」は…

今作の一環としたテーマとして
「人間の心の闇とは何か」
ということだったのではないかと思います。

登場人物が、何かしらのトラウマや心の闇を抱えていて、それを払拭するために、さまざまな異常行動を引き起こしていく。

その行動が絡み合って、一つの大きな「殺人事件劇場」となっています。

最近ではあまり「自分の闇(病み)」というものは、出てこなくなってはきたと思いますが、幼少期から学生時代は、どうだったかなあと。

あまり友達付き合いができず、結構ウジウジしていたように思いましたが、異常行動に行かなかったのは「理性」というものが働いていたのかなと思います。

ただ、最近では「異常行動」から出てくる事件が、非常に多いのではないでしょうか。

人間は、何かしらの「心の闇」を抱えているのは間違いないと思っています。ですが、異常行動を起こしてしまうのは(この話の中でもそうですが)
「自分の中だけで、解決や快楽を求め過ぎているから」なのではと思っています。

自分の抱える「心の闇」とは、自分自身できちんと向き合って、それでも
「そんな自分ができる、人生の中で、社会に対して貢献できることはなんなのか」
ということについて、考え続けて行動を続けていれば「異常行動」なんか、起こしている暇はなくなると思います。

そんなことをふと考えさせられる作品でした。

今作は、かなり難しく、またかなりの長編ではあったので、読み終わるのに1ヶ月以上かかってしまいました。それでも、なんとか読み終わることができてよかったです。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

あなたが消えた夜に (毎日文庫)
中村 文則
毎日新聞出版 (2018-11-07)
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この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

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