この作者の本は、何かと呼んではいるので、最新刊が出た時に、手にとってみました。
読了直後のレビュー(ブクログレビュー)
とある町で起きた連続殺人事件。「コートの男」が捜査上に浮上するのだが、実は、ある1人の女性に関わる、複雑怪奇な人間模様が織りなす事件であった。
所轄の刑事と、風変わりに女捜査官との奇妙なコンビが、その真相に迫っていくのだが…
この作品は、今まで自分が読んだ作品のなかでは、難しいというか、長いというのもあったけど、ちょっと読み終わるのに苦戦した作品。
でも、第3部からは、筆者らしい終わり方なのかなと感じた。
「連続殺人」は、ほんとうに行われていたのか?
とある町で、突如「コートの男」による連続殺人事件が起き、その調査に乗り出す所轄の刑事 中島と捜査一課の女刑事 小橋のコンビ。中島は、幼少期の頃に起きた火事のトラウマを抱えているが、仕事は実直にこなすのに対し、小橋は、女子ではありながら、なかなかの性格が屈折していて変わり者。そんな2人が、この連続殺人事件の謎に迫っていくというストーリーとなっています。
ただ、この事件、調べれば調べるほど謎が深まっていくのですが、最後の最後に「どんでん返し」が待っています。その辺りのことは、この作品を読んでもらえればと思います。
心の「闇」は…
今作の一環としたテーマとして
「人間の心の闇とは何か」
ということだったのではないかと思います。
登場人物が、何かしらのトラウマや心の闇を抱えていて、それを払拭するために、さまざまな異常行動を引き起こしていく。
その行動が絡み合って、一つの大きな「殺人事件劇場」となっています。
最近ではあまり「自分の闇(病み)」というものは、出てこなくなってはきたと思いますが、幼少期から学生時代は、どうだったかなあと。
あまり友達付き合いができず、結構ウジウジしていたように思いましたが、異常行動に行かなかったのは「理性」というものが働いていたのかなと思います。
ただ、最近では「異常行動」から出てくる事件が、非常に多いのではないでしょうか。
人間は、何かしらの「心の闇」を抱えているのは間違いないと思っています。ですが、異常行動を起こしてしまうのは(この話の中でもそうですが)
「自分の中だけで、解決や快楽を求め過ぎているから」なのではと思っています。
自分の抱える「心の闇」とは、自分自身できちんと向き合って、それでも
「そんな自分ができる、人生の中で、社会に対して貢献できることはなんなのか」
ということについて、考え続けて行動を続けていれば「異常行動」なんか、起こしている暇はなくなると思います。
そんなことをふと考えさせられる作品でした。
今作は、かなり難しく、またかなりの長編ではあったので、読み終わるのに1ヶ月以上かかってしまいました。それでも、なんとか読み終わることができてよかったです。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
毎日新聞出版 (2018-11-07)
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