本日は、本の紹介です。
コーヒーが冷めないうちに
川口俊和 サンマーク出版 2015-12-07
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ブクログレビュー
都市伝説「過去に戻れる喫茶店がある」という、都会にひっそりある喫茶店で起こる、4つのハートウォーミング短編集。
その喫茶店には変わった都市伝説があり、一定の条件を満たせば」過去に戻れるのだが、よくあるタイムトラベルものではない。
「過去に戻っても、今生きてる現実は全く変えることができない」という大きなルールがある。
そんなルールがあったら、過去に行く意味があるのかと思うかも知れないが、そういう単純なものではない。
「人の心が変われば、生き方が変えられるんだ」というメッセージがこめられているのだ。
「未来を変えましょう」というのはよく言われることではあるが、そういうことだけではなく「現状が変わらなかったとしても、心の在り方で変えられる」という見方もできるんだと思わせてくれる作品だった。
ジンとくる短編集
本屋大賞にも選ばれている短編集です。
とある都会のビルの地下にある、喫茶店で繰り広げられるハートウォーミングなお話が4つ入っています。
この喫茶店の変わった伝説がありまして、それは
「タイムトラベルができる」
というもの。
ただ少し厄介なルールがあります。それは、
- 行けるのは、あるカウンターにある1席だけ。ただし、その席には、白いワンピースの女が(幽霊である)いつも座っている。その女がトイレに行った時(1日1回だけ)だけ座ることが可能。
- 過去に戻れるのは、目の前のコーヒーが入れられた時から、飲み干すまでの間だけ。ただし、ぬるくなる前に飲み切らなければ現在に戻ることができない。
- この喫茶店に来店していない者には、過去に遡っても出会えない。
- 過去を変えようとしても、現在は変わることがない。
というものです。
なので、そんなにワンサカと人が集まるということはない喫茶店なのですが、ここで繰り広げられる4つのお話「恋人」「夫婦」「姉妹」「親子」とあります。
生きて行くという「気持ち」は変えられる
ただ、この4つのお話を通して言えるのは
ということなんだと思いました。
「恋人」では、自分の思いを告げることなくアメリカに行ってしまった彼氏に対して「自分は嫌われているのか」と思い悩んでいたので、過去に戻って確かめたところ「自分には似つかわしくない」という思いが強かったので、中々思い切れなかったことが分かったのです。
そういう「気持ちの部分」というか、生きていく上でとても大事なことだなぁと思えることがたくさん詰まっている短編集だと思います。
4つのお話が、少しずつリンクしている場面もあったりして、なかなか面白く、ジワっとくる作品です。
あいも変わらず、ゆっくり噛み締めながら読ませてもらいました。これぐらいの短編集の方が自分には向いてるのかもしれないですね。
本日はここまでです。ありがとうございました。
コーヒーが冷めないうちに
川口俊和 サンマーク出版 2015-12-07
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