【読書】「赤めだか」立川 談春 著

本日は、読み終わった本の紹介です。

赤めだか (扶桑社文庫)

立川 談春 扶桑社 2015-11-20
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by ヨメレバ

ブクログレビュー

読書日数 16日

落語家 立川談春のエッセイ集。17歳になってから真打ちになるまでの回顧録という感じで描いている。

このエッセイでは落語の世界とはどんな感じなのか、その落語協会を飛び出し立川流を新設して、弟子を育てていくという苦悩というか、それを通じての立川談志の「天才落語家」たる所以のことが、筆者の目線から描かれている。

また、その家元(談志)と過ごす前座時代に、とんでもない修行を与えられるのだが、そこでの同期(というか、仲間)とのやりとりから、生活の苦悩や、落語に対する向き合い方などが描かれていた。

自分はあまり落語に対しての知識はないのだが、立川談志の落語を何度か聴いたときに鳥肌が立ったことがあった記憶があり、また芸人としても破茶滅茶なイメージがあったので、どれだけ破天荒な人なのかと思っていたのだが、本当に落語を愛し、師匠を愛し、芸事を愛していた人だったんだと感じた。

落語の世界のわかりにくいところも、読みやすく解説されていて、入門的に読めるのではないかとも感じた。(『赤めだか』のレビュー 立川談春 (prelude2777さん) – ブクログ

師匠に対する愛を貫く

このエッセイは、ある週刊誌の連載を一冊の本にまとめたものだそうで、昨年末にドラマが放映されていました。

TBS年末ドラマスペシャル『赤めだか』|TBSテレビ

その時は、気にならなかったのですが、なんとなく本を手に取ってみた感じです。

ちなみにこの「赤めだか」というのは、談志師匠が買っていた金魚のことで、ある弟子がいろいろと師匠に言いつけを言われすぎてパニックになり、死んでしまうという、ちょっとかわいそうなエピソードがあります。

立川談春少年は17歳に談志師匠の落語に魅入られて、親の反対(というより、半ば勘当に近いような感じだったかも)を押し切って弟子入りをします。そこからは「前座」という立場で、師匠の追回し的な感じのことを1日中やっていきながら、芸人としての素養を育てていくのですが、何せ、あの「天才」談志の要求たるや、本当に大変だったことがわかります。

ですが、談春少年もなかなかの、図太い神経の持ち主だったようで、中学生から競艇が好きで、一時ギャンブルに興じていたこともあったりと、なかなか困らせることも多かったようですが、二つ目に昇進するときに覚えていない「寿限無」をやる羽目になって、あたふたしたり、昇進したときに着る羽織袴を買うのに5万円の競艇勝負に出て、結果別のことにお金を使ってしまって、最後には親に頼みにいったりと、本当にハチャメチャな弟子だったようです。

そんな弟子を「天才ならでは」の愛し方で接する談志師匠。そんな「芸人とは」というものを感じるエピソードで満載だったように思います。

落語が聞いてみたくなった

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読み終わって思ったのは、

落語を聞いてみようかなぁ。

と単純に思いました。

古典落語は基本的に「伝承していく」芸能です。その世界に魅入られた「落語家」という人たちが、どういった心情で落語というものに向き合うのかというのが、このエッセイからも節々に出てきます。

最後に出てくるエピソードで、談春が談志師匠の師匠にあたる「小さん」師匠に稽古をつけてもらうシーンがあるのですが、

稽古の仕方、進め方が家元(談志師匠)とそっくりだったのである。小さんが談志に教えたものを、同じ教え方で談春(オレ)にも教わっていたんだ。
談春(オレ)の芸には、間違いなく、柳家小さんの血が流れていたんだ…。
そう実感できたら,何故かたまらなくなった。(本書P292)

そういうことが実感できるのが、落語の魅力の一つなんだと思いました。結構じんわりと感動できるエッセイでした。ドラマも見てみようかなと思います。

というわけで、本日はここまでです。ありがとうございました。

赤めだか (扶桑社文庫)

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この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

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