「神去なあなあ夜話」(三浦しをん 著)を読んで、林業で生きる覚悟を決めた男達の粋な心意気と「なあなあ」なロマンスも感じることができた。【ネタバレあり】

読後直後のレビュー(ブクログレビュー)

読書日数 22日

前作「神去なあなあ日常」から3年経ち、主人公が二十歳になってからの様々な神去村での日常を「読者」(といっても誰もいないのだが)に向けたブログ調で進む物語。

自分が恋心を抱いていた、小学校の先生で年上の女性に対しての恋心や、居候先の同僚(先輩?)の幼少期におきた惨劇と、神去村で生きていくための覚悟などが描かれている。

また、神去村での伝説(失くし物を見つけてくれるお稲荷さんの話)を通して「昔からの言い伝えが何故、現代にまで受け継がれていくのか」といったことも描かれている。

山での仕事を続けていくということは、100年先も平和で、笑顔の絶えない日常を守り抜くことになる。そこに関わって自分たち「個人個人が幸せに暮らしていけるという事の有り難みを感じて生きていかないといけないんだ」と思わせる作品だった。

ちょっぴりロマンスもあります

前作のレビューはこちらです。

ちなみに映画化にもなっています。まだ見てはいないのですが、ちょっと観たくなっています。

今作は前作から3年経ち、主人公の『勇気』が20歳になっています。

3年前は、無理矢理就職させられた林業という仕事に、戸惑いながら「何でこんなことしなくちゃいかんのや!」みたいな不満も沢山あった様です。ですが、時も経てば一端の山男になっていて、今では「100年先の山を守っていく」という壮大な使命に目覚めて、仕事をしています。

それでも、まだ年頃の若者ですので、らしい感情も出たりしています。未だに恋心を抱く小学校の先生『直紀さん』に対する愛情表現は、未熟な感じで、何度か喧嘩にもなったりします。

ですが、ある失くし物を『勇気』が見つけるキッカケを与えたお陰で、事態は急展開になります。最後は…まぁ、今作品を読んでいただければと思います。

山に生きる覚悟

『勇気』が居候させてもらってる『ヨキ』の両親と、親方でもある『清一』の両親が、同じ日に亡くなっているということを知ることになります。

それをキッカケに、この2人の「山に生きる覚悟」というものを知ることになります。思春期の年頃の少年達が、そんな事を考えているわけです。これは、本当に物凄い事なんだと思わせてくれます。

少なくとも、自分の周りでは起こっていないことで、自分も、ここまで何不自由なく、無事に過ごしてきているわけです。なので、この2人の思いを完全に理解できるかといえば、無理があります。

でも、それを乗り越えできたとこの2人だからこその、なんと言うか「山仕事に対する思い」がとても熱く感じることができた様に思います。

私も、今の仕事について「ならせてもらった」という、感謝の気持ちがあります。

その気持ちは、これからも絶対に失くしちゃいけないと思いますし、だからこそ、キチンと向き合って仕事をしたいと常に思っています。

だからと言って、ガチガチになるばかりではなく「なあなあ」(落ち着いて、じっくりと)でいくことも大事だなぁと思いました。

映画は一回観てみたいですね。最近ではレンタル屋さんが少なくなってますが、iTunesでレンタルできそうです。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

お気軽に読んでいただければ嬉しいです。