本日は、本の紹介です。
神去なあなあ日常 (徳間文庫) | ||||
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ブクログレビュー
横浜のなんでもない高校生が卒業式の翌日になって、突然親や先生の勝手な判断で、神去村という山奥に突然「林業」の就職が決まったので、何の心構えもなく山仕事をすることになった主人公の手記的な物語
「なあなあ」というのは「まあ、落ち着け」ということらしいのだが、とにかく「なあなあ」ということが多く、また村の謎のしきたりに振り回される主人公。
それと同時に山仕事の厳しさを目の当たりにするのだが、初めは、とにかく情けなく「何でこんなことをしなくちゃいけないのか」と不満が多かったが、次第に山仕事の大切さや意義、そして神去村の伝統や村人たちの仕事に対する誇りなどを感じ取ることで、だんだんと山仕事の素晴らしさに没頭していくことになる。
そんな中で、ある女性に恋心を持つようになり、もっと「かっこよくなる」と決意していくところなんかは、何だか微笑ましかった。
山仕事をやる若者は、どんどん減っているとは思うが、こういう世界があるということを知るきっかけにもなる小説だと思う。筆者は、本当にいろんな引き出しがあるなぁと感心してしまう。
久しぶりの「三浦ワールド」堪能できた!
三浦ワールドは健在!
久しぶりの「三浦ワールド」を堪能できました。
この話の設定は「ほとんど使っていないと思われるパソコンに、自分の日記的なものを書いていこうと思ったが、せっかくだから「誰かに読んでもらおう」みたいなテンションで、自分の生活を書き綴っている、みたいですね。
横浜で何のこともなく過ごしていた高校生、平野勇気は、卒業後はフリーターでもなろうかと思っていたところ、卒業式の翌日に、先生と母親が勝手に「神去村の林業の会社に就職が決まったから、すぐ行って!」
と言われ、家を追い出されることになります。
何の心構えもなく、その山奥の村に着いた途端、ヨキというガタイの大きな男に連れられて、一緒に住むことになります。初対面で、いきなり勇気の携帯電話を取り上げ、電池パックを外して川に投げ捨てられるという、まあ「何だコイツ!」という感じですね。
訳も分からず、おやかたさん(いわゆる林業会社の社長)との挨拶そこそこに、いきなり山仕事が始まります。
こんな感じでスタートした林業生活。初めは不平不満の連続です。とにかく「横浜に帰りたい」が連発しています。ですが、とある事件をきっかけに神去村で働こうという意識が芽生えます。
一度、脱走を試みて、別の地区に住んでいる、女教師の直紀さんに、駅までバイクの後ろに乗せてもらうことになります。(そのあと、当然に引き戻されることになりますが)その時に、勇気がその直紀さんに恋心を抱くのです。まあ、よくあるやつですね!
林業おもしれー!
そこからは、林業に励み、神去村の行事に関わりながら生活をしていくうちに「何故林業が必要なのか」「木を切るということはどういうことなのか」など、本質的な部分に触れていくことで「自分のやっていることの意義」みたいなことが芽生えていくことになります。
また、神去村の不思議や、謎の風習にも振り回されていくのですが、ヨキの家族を始めとする、神去村の村人に存在を認められていくようになり、やり甲斐を感じるようになる勇気。
最後の48年に一度の「大祭」では、ヨキの飼い犬ノコを全力で助けることで、村人に受け入れてもらえることとなり、何だかホッコリさせられました。
帯の「林業っておもしれー!」なんか分かります。こんな気持ちにさせられる三浦ワールドが、今回も炸裂です。
続編もあるので、早速読んでいきたいとおもいます。
神去なあなあ夜話 (徳間文庫) | ||||
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本日はここまでです。ありがとうございました。
神去なあなあ日常 (徳間文庫) | ||||
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