今日は、相続登記をするにあたって、特にどんな書類をそろえるかについて書いてみようかと思います。
「相続が始まったこと」を証明するには
不動産の名義人がお亡くなりになったことにより(以下「被相続人」といいます)、相続人名義に書きかえる場合、
- 不動産名義人が亡くなったこと
- 不動産名義人の法定相続人が存在すること
- 上記2の相続人以外に相続人が存在しないこと
以上の3点を証明すれば、相続が始まったことを証明できます。
1.不動産名義人が亡くなったこと
これを証明するためには「被相続人の死亡記載のある戸籍謄本(もしくは除籍謄本)」と「被相続人が亡くなった時の住所地を証明する住民票(もしくは住民票の除票)」が必要になります。
ここで、注意が必要なのはお亡くなりなった時の住所と、不動産の登記簿に記載のある被相続人の住所が違う場合には、それらをつなげる必要があります。そうじゃないと登記簿上の名義人と同一人物であるということの証明にならないからです。
2.不動産名義人の法定相続人が存在すること
これを証明するには「法定相続人全員の今現在の(最新の)戸籍謄本」が必要になります。相続人が生存しているという証明が必要だからです
3.上記2の他に相続人がいないこと
これを証明するには「被相続人の生まれてからお亡くなりになるまでの除籍謄本と改正前原戸籍謄本(俗に言う『原戸籍(はらこせき)』が必要になります。
この除籍謄本を集めるのに大変苦労することが多いかと思います。原因の一つとしては、昭和中期(戦後当たり)の方々は住所を変えるたびに戸籍を転籍していることが多く、このころは養子縁組も盛んに行われている時代でした。また、町名などが変わったりしていることで、戸籍の管轄も追跡するのが困難な場合が増えてきております。
なぜ「思い立ったときにするのがいい」のか
以前、FBにも投稿したことがあるのですが、「思い立った今でしょ!!」と私が皆様に申し上げるのは、これらの手続きを引き延ばせば伸ばすほど、それを解決する費用や時間が多分にかかってしまうからなんです。
たとえば、上記1で出てきた「被相続人の最後の住所を証明する住民票」というのがありますが、これが出ない場合があります。それは、「戸籍が除籍されてから(つまりは戸籍の中に人がいなくなってしまってから)もしくは改正されてから(法律が変わることにより戸籍の様式などが変わることがあります)5年で破棄されてしまう」場合です。役所も紙ベースで置いておくには限界があるので、こうして残す分量を調節しているわけです。
じゃ、「出ないからそれでいいやん!」というわけではなく、こういう場合は「破棄されていることの証明」を役所に出してもらって、「被相続人名義の権利証書の写し」を準備して「相続人全員の署名捺印(印鑑はもちろん実印です)のある上申書」をつけます。
その上申書の内容とは
「被相続人は権利証に書いてある日付と番号で登記を受けたんですが、住所を証明する書面が何もつけられません。この不動産の所有者は間違いなく被相続人のものですので、どうか登記を受け付けてやってください」
といった感じになります。(文書は、もっと堅苦しいですが)このひと手間が、また大変に面倒くさいですし、余分な実印の押印をしなければならなくなるので、あまりよいことではないですね。
また、「費用がかかるから」と放置していた場合、次の世代の方々にすべてしわ寄せがいってしまいます。残された御家族に費用も時間もものすごく負担を強いることになります。
ですので、「思い立った時にしておくこと」が、いかに重要になるかということにつながるというわけです。
今日はこの位で、打ち止めにしておきます。また続きで少しずつ皆様にご理解できるような形で御提供できればと考えております。