【読書】「ようこそ、わが家へ」池井戸 潤 著

本日は、朝の読書時間で読み終えた本を紹介します。

ブクログレビュー

読書時間 4時間40分(読書日数 14日)

真面目な主人公、倉田が、ある夏の日に、駅のホームで順番を抜かした男に対して注意をしたことが事の発端で、そこから「名無しさん」からの倉田家に対する、執拗な攻撃が始まるようになる。

家族全員で犯人特定をしていく一方で、倉田の出向先の会社で営業部による不正疑惑が見つかり、そのカラクリを見つけようとするが、逆に追い込まれることになる。

そんな二つの事件を解決していく中で「家族との絆」と「部下との信頼関係」を見つめ直していくこと、そして「目の前の事に誠実に取り組む大切さ」「毅然と態度を示す時にはちゃんとする」といったメッセージを感じることができた。

自分という人間は周りから見たら「名無しさん」ではあるのだけれども、自分は自分として社会に関わり合いを持つということも重要である。

どんどんとはまっていってるのが分かる。取り返す勢いで読み続けられたらいいなと思う。
『ようこそ、わが家へ』のレビュー 池井戸潤 (prelude2777さん) – ブクログ

今回はちょっぴりサスペンス調

ちょっと怖い!
ちょっと怖い!

今回の題材は「ある家庭の平和な日常の中で『ちょっとした正義感から取ってしまったおせっかい』から、その家族に不幸がふってくる」といった始まりです。

主人公は、いたって真面目な銀行員で、出世街道から外れてしまったためにとある電気部品の会社に出向しています。妻・息子・娘との4人家族で平々凡々と暮らしている中で、とある夏の日に電車の乗る順番を抜かしていった男に注意をしたところ、その日から主人公の家族(というか家に)いたずらが多発するようになってきます。

それを解決するために、いろいろな推測や対策をしていくのですが、実はある日を境に別の人間が、主人公の家にいたずらをしているということが判明していきます。どういったきっかけで気づいていくのか、この話の展開が面白いんですよね。

また、それと同時進行で出向先の会社で主人公が経理の不正疑惑を見つけます。その会社の営業部長がどうも関与していると思われるのですが、それを証明して社長や本人に詰め寄るのですが、なにせ「銀行さん」という風に揶揄されているものですから、聞く耳を持ってもらえないのです。そこで、どうやって不正を暴いていくのか。先ほどの「ストーカーの犯人を見つける」というのと同時進行で進んでいくのが見所です。

一人一人は「みんな孤独だ」

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この本の結びに

空いた電車で新宿まで行き、山手線に乗り換えた。その電車が代々木駅で停車したとき、倉田は思わずホームに「名無しさん」の姿を探そうとした自分に気づき、苦笑いした。

何人かの客が降り、そして乗り込んでくる。

だけど、名無しさんは、もういない。

ここに乗り合わせた誰の名前も知らないが、それぞれに名前があり、それぞれの尊い人生を生きている。

そのことに思い至ったとき、唐突に倉田は心打たれた。倉田の中で名無しさんは名無しさんでなくなり、ひとりひとりの人間になる。

そして気づいた。

この人たちにとって、倉田もまた名もない人間であることに。

そして倉田もまた、自分の人生を必死で生きているひとりの人間であることに。

ようこそ、わが家へ437P)

とありました。いろんな人に支えられて生きている私であったとしても、とある人から見れば「名無しさん」であることに変わりないですね。ただ自分の人生を全うすることに全力を注ぐこと以外にないんだと改めて思いました。

今回の作品も楽しめました。ドラマ化も決定したようですね。
ようこそ、わが家へ

いつもは、ドラマを見てから原作を読むというパターンなのですが、初めての逆パターンです。楽しみにしておきます。

というわけで本日はここまでです。ありがとうございました。

この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

お気軽に読んでいただければ嬉しいです。