本日から膨大なインプット講座に参加します!
自分には「圧倒的な」ハイレベル研修
司法書士には、研修を受講することで自己研鑽をはかることが重要だと分かっていても、こういった研修会には極力参加を回避してきました。
2日間みっちりの研修会です。今年度は司法書士界ではおなじみになっている、加藤新太郎先生による「事実認定マスター講座」と言うことで、参加者もかなり多かったのではと思います。
【司法書士業務】「司法書士の専門家責任」について〜プロローグ〜 | ミナトノキズナ〜司法書士 岡田事務所
あと、今回もインターネットで同時配信も行っていて、受講生の人数もかなりになっていると思います。
研修会を申し込んだ日から数日後に、1冊のファイルがドンと送られてきました。「事前課題」です。久しぶりにこういった感じの課題をやりましたが、いかんせん裁判事務の経験等が少ないせいで、かなり苦労しました。
迎えた当日、会場はこちらでした。
アクセス|貸し会議室 新梅田研修センター
大阪はとにかく道かややこしく、いつも会場には一発で行き着くことができないのですが、今回は大丈夫でした。アクセスは良かったと思っています。
こういった研修センターは、この時期、受験シーズンでもありますね。
着席場所も決められていました。
とりあえず、こんな感じで臨みます。
研修ログ
「民事訴訟の基本構造」
- 裁判官の大きな仕事は「事実認定」と「法律判断」で、事実認定にはかなり労力を要する。
- 不動産登記にもかなり重要なファクターだと思われる。
- この研修の目標は「民事訴訟の基本的な理解と一定の事実認定ができる」ということ
- 事実認定というのは個別性の強いもの→10件中1件は裁判官によって結論がちがうものもある。
- 高裁の3件に1件は注意してみた方がいい→1審判決の2割は控訴される。
- 結論を変えずに、理由を変えて判決をする場合もある。
- 依頼者から事情をきちんと聞いて、自分の頭でスクリーニングして適切に事案を判断する。
- 良い主張・良い反論ができると、満足な判決も、良い和解も出来る。
- ただ単に法的な勝ち負けだけではなく、実態に即したものが出せる事が大事。
- 訴訟代理はフルコース→依頼者の持ってきた問題を、リーガルな部分で解決すること
- 悪意のない依頼者でも、思い込んだり、自分に不利なことは忘れていたりする→当事者の語る事柄を客観的な観点で吟味することが重要(経験則に合致しているのかどうか)
- 事実のウラを取るためだけに、新聞広告があったかどうかを確認するために「国会図書館」で、過去の電話帳を探すために「逓信博物館」を、昔の時刻表の整合性を証明するために「交通博物館」を調べた弁護士がいた。
- 典型契約とは民法上の契約(13種類)→それ以外は「無名契約」→そうする場合は条文に立ち返って見る(ex「売買」なのか「交換」なのか→民586②)
- 実体司法(実体法)が分かっていないとダメである→事実認定も「民事訴訟法」上の約束事の上で行うことが必要
- 判決類型は3つ<給付判決・確認判決・形成判決>→それぞれが棄却されれば全て「確認判決」となる(およそ訴訟は「確認判決」である)
- 請求は「請求の趣旨」と「請求原因」で特定する(民訴133)
- 確認の訴えは主文(請求の趣旨)だけで全てを確認できる。
- 処分権主義の根拠は「私的自治」→当事者で自由に決めることが出来る→「裁判所に訴える」という権利(処分権)も私的自治として持っている
- 訴状提出だけでは係属しない(訴状却下の場合がある)
- 判決・取り下げ(相手方の同意が必要→応訴義務を発生させたから、見かえりに棄却判決を求める権利もある)認諾・和解・放棄(自分で勝手に出来る)
- 弁論主義の実質的な根拠も「私的自治」→弁論を当事者に任せていた方が訴訟政策においては「真実解明には」ベターである<政策説>
- 処分権主義は「判決の主文の内容」弁論主義は「判決理由」を限定する
- 消滅時効の援用が必要な理由→援用をしてもしなくてもいいとなっているから→権利抗弁は主張共通の原則が適用されない。
「要件事実論」
- 日本は法典を持っている国なので、知識を付与していかなくてはならない
- 法律があるので「一定の要件があると、一定の法律効果がある」(法律の解釈→要件の解釈)
- 問題となる事実を選別して、法律解釈を当てはめる。
- 当該契約の冒頭規範を読めば、契約類型の要件事実がある。
- 要件事実的思考→条文をよく読むようになる・論理的思考の訓練・法的安定性→訴訟以外の場面でもほうてきに 重要な者を見分けられるようになる。
- 原告として大事なのは「請求の根拠づけるのに十分な事実主張」被告としては「抗弁事実(請求を覆すための事実)」があるか。
- 法的に意味のあるものが何かを考えるようになるので「世間話的な相談とはならない」
- あらゆる法律関係は「成立し、効力を生じ、消滅する」→成立要件・効力要件・消滅要件→実定法の要件で校正される
- 特別要件(その法律効果に特有の要件→契約各即)・一般要件(すべての法律要件に共通の要件→民法総則)
- 権利発生事実・障害(不発生の抗弁)排斥(阻止の抗弁)消滅の要件
- 類型→債権型(契約型・事故型・不当利得型)・物件型(所有権型・担保物権型)
- 契約の要素→売買は「そのものの価値」が重要であるから「売買代金」は要素で言う必要がある。
- 本文と但し書きがあったときは当事者を分けて考えること!
- 規範的要件(過失・重過失)→主要事実として使えないので「評価根拠(障害)事実」を主張する必要がある(cf,事実要件)
- 期限と条件については「抗弁」である<通説>(否認説だと期限と条件は「要素」として扱う)
- 消費貸借の期限の定めが必要か?→一定期間を使用するということが大事なので「一定期間が要素」である
- 契約成立要件としては必要ない→請求するためには「期間」を定めていないと請求できない
- 民591→当事者の意思解釈として「催告」をしたときに返還するという合意があって契約していると解釈される。
- 売買型と貸借型の差違→「期限(期間)」を契約の要素とみるか否か
- 目的物返還請求権と妨害排除請求権の違いは「占有」による所有権侵害があるか否か→「登記請求」は占有ではないので「妨害排除」
- 対抗要件の抗弁→①売買の事実②対抗要件を具備するまでは、元所有者の所有権取得を認めない(権利抗弁説)→「消滅時効の援用」の効果と似ている
- 対抗要件具備による(原告)所有権喪失の抗弁
「争点整理」
- 訴訟法の研究が判例に全く影響されていない→弁護士等がその研究について勉強をしていないから
- 自分のクライアントに有利な学説等がある以上、勉強して主張しなければ判例に反映されないので、判例だけ勉強するというのはダメである
- 法律実務家として何が必要なのかという知識・判断は弁護士とかは関係無い→経験を積まないと相場観が得られないので、そういうアウトプットをしていくといい(次につなげる)
- 裁判所と当事者及び訴訟代理人が協働しておこなう→事案について咀嚼して理解することか出来る
- Informed Situationの形成→心証を共有するためのツール・意見交換→裁判を進める上でかなり大切である(無駄な処理をする必要がなくなっていく)
- 「説明した」ことの事実の意味合い→言葉で詳細に説明したのか、概略を説明しパンフを交付したが質問はなかったのか(金融商品販売における説明義務違反)
- 争点の範囲の縮小(争点の明確化)→証拠との関係で、ある程度のパターンを当てはめていって考えていく。
- 争点整理の現状→楽観論と悲観論がある
- 弁論準備手続がしっかりしているものは、おおむね事実認定が適切(書類の交換だけだと、事案が咀嚼されない)
- 裁判官の心証形成→①訴訟物・請求原因事実・抗弁事実の見極め②事件のスジを抑える③経験則を踏まえて争点と証拠との関連を吟味・評価④形式的(実質的)具体的に妥当性ある結論→このうち①〜③が争点整理である
- 中には制度を不当に利用しようとしている者もいる(当事者もしくは訴訟代理人によって事件を作る)
- 当事者が思い込んで虚偽主張を言い張る事もあったりする→弁論準備手続でたしなめることもある
- 完璧に勝とうとするがあまり、言わなくてもいいことを言ってしまって、却って不利になるケースもある。
- 争点整理の在り方→率直かつ闊達な意見交換により「気づき」を得ること
「本件(慈善課題)の争点整理」
- 事案について詳細を言う場合は「人間の関係性」等を言う。
- 使用収益が妨げられているわけではないが「実体と異なっている」それ自体が所有権侵害になっているので妨害排除請求権が認められる。
- 一般的な登記請求権(物件型)が必要か?→物件取得者などの権利者は「不動産物件が正しく登記簿に表示されていることに利害を持つ」(登記義務者が申請に協力しない場合)から。
- 「仮執行宣言」付の登記請求判決があったとしても登記先例で「受け付けない」というふうにうなっているから(S25.7.6民事甲1832号民事局長通達)→判例もある(最判S41.3.18)
- 「物権的登記請求権」「債権的登記請求権」「物件変動的登記請求権」
- 所有権について否認されたら「権利自白」が成立するまでの前所有者を証明する必要がある
- 権利というのは「裁判官の先見」なので、当事者が合意して導くというのはおかしい(権利自白を認めない立場)
- 所有権に基づく建物明渡請求の段階で、中間確認として建物の所有権を確認することにつき被告が認諾することも可能→だとしたら元所有がで出来たとしても認諾OK(権利自白)なのではないか。
- 本人が動いていないということについて第三者の認定を「本人の使者」か「本人の代理人」かで①本人によるん契約か②代理人による契約かが決まる。
- 登記が有効であるためには「設定契約に基づく司法上の義務の履行として」されてたことと手続的に適法にされたことが必要である。
- 同居の親族は表見代理において、相反する形で両方に働く(代理人を頼むのは当然であるというのと、注意をする必要がある<実印を冒用しやすい>)→それだけで分からないので、他の証拠や実情から判断していく。
- 処分証書→法律行為が現れている書面(遺言・手形・契約書)→当事者の意思に基づいて文書が作成されたと認定される。(文書の真正)
- 署名代理の場合は二段の推定は使えない。
まとめ
初日は「民事訴訟法」を、基礎的な部分で振り返るというに特化していたように思いますが、深い論点や理由付けがあるんだということが理解できたのが大きかったです。
知識として、ただ単純にあったものが、深いところでの理由付けを先生にしていただいたことで、民訴の基礎的な部分にようやく触れることが出来たのではないかとも思いました。今まで避けていた(向き合わなかった)のですが、向き合うには十分な動機付けが出来たように思いました。
あと、今回は「双方向研修」ということで、現地での参加者には順番にマイクが回ってきます。加藤先生からの質問に対して答えていくのですが、先生からは、
と言っていました。
今まで、特別研修のチューターという仕事を長年させていただいた事もあって、基本的な部分(知識的な部分)は結構ついていけてたと思ったのですが、そのコアな部分(というか本質的な部分)の理解まで突っ込んでくる加藤先生の質問に、打ちひしがれながらも、漠然としていた考え方に、すっと輪郭が出来たような講義でした。
所々に笑いもあって、ライブを受ける意味はあったと思っています。
ということで、明日は後半戦です。一つでも何かを持って帰れるように頑張りたいと思います。本日はここまでです。有り難うございました。