読書直後のレビュー(ブクログレビュー)
タイトル作を含む、6篇の短編集。2011年の作品。
タイトル作は、カバン屋の相続(事業承継)での、兄弟間トラブルの話。出てきた遺言は、家業を手伝っていた弟ではなく、元エリート銀行員の兄に相続させるというものだった。その時カバン屋に出入りしていた、信金の担当者が、意地の悪い兄と対峙するが、そんなある日、その取引先が倒産に追い込まれ、連鎖倒産の危機を迎える。弟は、相続放棄をし別の会社を立ち上げていたのだが、なぜ相続放棄をしていたのか…。先代の思いと、家業を引き継ぐ難しさと覚悟が描かれている。
他の作品も、銀行に纏わる話が多いが、結構「大団円で終わるもの」が少なかったように思った。珍しいなと感じた。
でも、そういうのも人生だし、もし仮に自分がそういう目になったとしても、受け入れていかないといけないなと思った。
ドラマ「陸王」も始まるので…
池井戸ファンとしては、前から今作品は気にはなっていました。もうすぐドラマ「陸王」も始まりますので、ちょっと読んでみようかと思いました。
今作品は、タイトル「かばん屋の相続」を含む、6編の短編集になっています。短編も結構書かれていますよね。
実は長編を期待していたのですが、まあそれはということで、読んでみました。
「大団円」が少なめ!
池井戸作品は、基本的に「大団円」(主人公がハッピーエンドで終わる)が付きものなのに、結構、悲しく終わるものも何作か入っていました。
それが、私の中では意外に感じましたね。
たしかに人生って、上手くいく方がいいに決まっていますし、そうでありたいとも思います。
でも、そんな事ばかりではないし、仮にそういうことになったとしても、受け止めて前に進むしかないんですよね。
「働く男たちの愛憎、葛藤」それも、また人生なんですよね。
自分としては、大団円で終わらない作品があることで、また新たな一面が発見できました。
池井戸作品が、より好きになりました。
最後までお付き合い頂き.ありがとうございました。