【読書】「陸王」池井戸 潤 著

本日は、本の紹介です。

陸王

池井戸 潤 集英社 2016-07-08
売り上げランキング : 80

by ヨメレバ

ブクログレビュー

著者 : 池井戸潤
集英社
発売日 : 2016-07-08
読書日数 6日

100年続く足袋製造業の社長である主人公が、先細りしていく業界に対し、生き残っていくための道を模索していたところ、スポーツ店に置いてあった五本指のシューズを見かけたところから「ランニングシューズ」に目をつけ、これを自社開発できないかと閃く。

シューズ開発はそんなに簡単なものではなく、資金面、素材の開拓、そして他者との競合など問題は山積みで、それが何度も主人公の前に大きな壁として立ちはだかる。

そんな時に、様々な人の繋がりや思いをたくさん受け止めて前を向いて進んでいく姿が、本当に泥臭くて、格好良い。

仕事は1人でやっているのではなく、また「お金を稼ぐ」だけといった、そんな小さな目的だけでもない。人をのことをどれだけ信頼して、誠実に目の前の仕事を全うするか。そして自分の従業員や仲間を想って、どれだけ闘いを挑むことができるのか。それが本当の「ビジネス」なのだということを思い知らされた。

今回はかなりの長編だったのだが、自分のなかではカナリのめり込んで一気に読めたと思う。

今度は「ランニングシューズ」

池井戸潤最新刊「陸王」絶賛発売中!|集英社

池井戸作品の最新刊です。

舞台は埼玉県行田市にある100年続く足袋屋「こはぜ屋」。そこの社長である宮沢紘一は、この先足袋だけでやっていけるのかという現実問題とぶつかります。

得意先の百貨店から「和装売り場を減らす」という通告を受け、売り上げの激減は確実視されます。途方に暮れていたところ、そこのスポーツ店に「ビフラム社」のフィンガーシューズを見つけます。
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最近コレをはいている人よく見ます!

その時「これを自社開発できないだろうか」というアイデアが降ってきます。

「戦前のオリンピックでマラソン用の地下足袋で走った」という記録があり、また、自分が幼少の頃、先代がそのような試作品みたいなのを作っていたのではないかと思い出し、倉庫を探してみると出てきたのが、子供用の地下足袋「陸王」でした。

宮沢は、それを新規事業の開発コードとして、シューズ産業に乗り込む決意をします。それからは、いろいろな問題が立ちはだかります。

素材の開発からフィードバック。競合他者との駆け引きなど、何度も大きな壁に打ち止めされそうになります。ですが、このシューズを完成させるのに情熱を傾ける宮沢の姿に共鳴するかのように、様々な人が集まってきます。

人との「信頼関係」を築いていくこと

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初めは自分の特許技術を金に帰ることだけしか頭になかったが、宮沢の仕事に対する情熱を粋に感じて、ソール(シューズの底部分)の新素材「シルクレイ」の開発に没頭していくようになった顧問の飯野。

大手シューズメーカー「アトランティス」(「こはぜ屋」のライバル会社)に所属し、たくさんの選手達から絶大な信頼を寄せられていたが、そのやり方に反発しだがために退職することになり、逆に、弱小中小企業「こはぜ屋」を手伝うこととなったが、その中で、本当の仕事とは何かということについて、情熱を取り戻していくことになったカリスマシューフィッターの村野。

怪我をしてしまい、「アトランティス」のサポートを止められたが、ひょんなきっかけで「陸王」を知ってからの2年間「自分は、何のために走るのか」に気付くことが出来たマラソンランナー茂木。

就職活動をする傍らで、嫌々ながら手伝ってはいたが、「シルクレイ」の開発を飯野と進めるうちに「仕事とは何か」ということに気がつき、成長を遂げていく宮沢の息子の大地。

昔からこはぜ屋の屋台骨を支える、あけみさんを筆頭に裁縫部のパートさんの方々や、いつも経理を支え、一度「こはぜ屋」が先代の時代に、同じ「陸王」を開発することでつぶれかかった経験から、その危険性を頑なに言い続けるも、一番「こはぜ屋」のことを思いつつけてくれている富島。

宮沢の想いの上に、この人達の想いが「信頼関係」というもので築き上げていくことで、「陸王」がどんどん良いものに生まれ変わっていくのを見ると、本当にビジネスというのは「知識」や「財力」だけではダメなんだと改めて感じることが出来ました。

また「いい人」だけではビジネスは通用しない。最大限、闘っていく姿勢を見せつけることも重要だと言うこともわかりました。

今作はかなりの超大作で、何時もなら読み終わるのに1カ月ぐらい掛かりそうな感じだったのですが、ストーリー展開が本当素晴らしく、没頭することが出来たので、5日ほとで読み終えることが出来ました。

巻末にこんな企画が!「こはぜ屋」デザインの濃紺の足袋を抽選でプレゼントだということです。こういうのも面白いですね。
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ラストシーンはジンときます!

ドラマ化にもして欲しい!ということで、本日はここまでです。ありがとうございました。

陸王

池井戸 潤 集英社 2016-07-08
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この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

お気軽に読んでいただければ嬉しいです。