「かばん屋の相続」(池井戸 潤 著)は、池井戸ファンにはお馴染みの銀行小説短編集。大団円とならない作品もまた、いいなと感じる【ネタバレあり】

読書直後のレビュー(ブクログレビュー)

読書日数 16日

タイトル作を含む、6篇の短編集。2011年の作品。

タイトル作は、カバン屋の相続(事業承継)での、兄弟間トラブルの話。出てきた遺言は、家業を手伝っていた弟ではなく、元エリート銀行員の兄に相続させるというものだった。その時カバン屋に出入りしていた、信金の担当者が、意地の悪い兄と対峙するが、そんなある日、その取引先が倒産に追い込まれ、連鎖倒産の危機を迎える。弟は、相続放棄をし別の会社を立ち上げていたのだが、なぜ相続放棄をしていたのか…。先代の思いと、家業を引き継ぐ難しさと覚悟が描かれている。

他の作品も、銀行に纏わる話が多いが、結構「大団円で終わるもの」が少なかったように思った。珍しいなと感じた。

でも、そういうのも人生だし、もし仮に自分がそういう目になったとしても、受け入れていかないといけないなと思った。

ドラマ「陸王」も始まるので…

池井戸ファンとしては、前から今作品は気にはなっていました。もうすぐドラマ「陸王」も始まりますので、ちょっと読んでみようかと思いました。

今作品は、タイトル「かばん屋の相続」を含む、6編の短編集になっています。短編も結構書かれていますよね。

実は長編を期待していたのですが、まあそれはということで、読んでみました。

「大団円」が少なめ!

池井戸作品は、基本的に「大団円」(主人公がハッピーエンドで終わる)が付きものなのに、結構、悲しく終わるものも何作か入っていました。

それが、私の中では意外に感じましたね。

たしかに人生って、上手くいく方がいいに決まっていますし、そうでありたいとも思います。

でも、そんな事ばかりではないし、仮にそういうことになったとしても、受け止めて前に進むしかないんですよね。

「働く男たちの愛憎、葛藤」それも、また人生なんですよね。

自分としては、大団円で終わらない作品があることで、また新たな一面が発見できました。

池井戸作品が、より好きになりました。

最後までお付き合い頂き.ありがとうございました。

この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

お気軽に読んでいただければ嬉しいです。