本日は、朝の読書時間で読み終わった本を紹介しています。
レビュー
読書時間 3時間30分(読書日数 10日)
東京のある下町で、つまみ簪職人の源二郎と元銀行員の国政との幼な馴染みコンビの周りで繰り広げられる人情話。
源二郎は破天荒な性格でつまみ簪職人。幼き頃に空襲で家族を失ったという過去がある。一人の女性を愛していたが、早くに逝かれてしまう。そんな中で、弟子の徹平に世話をしてもらっている。
国政はすごく真面目で元銀行員。いわゆる「真面目なサラリーマン」を絵に描いたような人物で、親に決められたお見合いで結婚し、娘が2人が生まれたが、ある日突然出て行かれてしまう。源二郎の生活を羨ましく思いながらも、幼い頃の二人の思い出を胸に秘めながら一人で生活している。話のテンポは相変わらず良くて、情景が思い巡らせやすいなぁと。
最後は、何処かちょっとほっこりさせるような終わり方なのも筆者らしいなぁと思った。途中で家族の絆のことについて、二人の視点から描かれている。改めて家族があることの大切さを認識させられた。
(『政と源』のレビュー 三浦しをん (prelude2777さん) – ブクログ)
人情あふれる下町のお話
本を読むことについて、半年ほど前に比べるれば、だいぶ苦痛にならなくなってきているように思います。
読書家の皆様からすると「人情話」というのは多分よくあるものだとは思いますが、私は初めて読んだといっても過言ではありません。分かりやすいコテコテの設定だったように思います。
幼馴染の政(有田国政)と源(堀源二郎)の、70数年に渡る付き合いの中で、様々なことが東京のとある下町で繰り広げられるお話です。
源の弟子の徹平とその彼女マリは、この二人と半世紀ほど年が離れているにもかかわらず、二人に仲良く、そして尊敬して接している姿をみて「古き良き日本」みたいたなものを感じ取ることが出来たように思います。私の少年時代には多かれ少なかれあったような気がしますが、今の時代にはそぐわないことなのかもしれません。
また、政が別居している妻の清子のところに勇気を振り絞って尋ねに行くところや、その後、徹平の仲人をやるかどうかでの手紙のやりとりのシーンでは「昭和の時代の旦那像」を垣間見ることができたのですが、それでは今の時代生きるのは難しいなぁと思いましたね。
でも、仲人をやり終えた後に清子が「たまには手紙をよこしても構わない」と言って別れていくところは、なんかホッとさせられました。で、その話を源と話しながら荒川の土手で桜を見ながら終わります。本当にほっこりさせてくれます。
「しをんワールド」炸裂です
この人の小説は、情景の書き方が分かりやすく、そんな中でもちょっとヒネって書いてあるのが良いんです。
ですが、私としては「舟を編む」とか「まほろ駅前多田便利軒」みたいなインパクトの残るストーリーでは無かったなぁと感じました。
「こういう人情話だとこんな感じになるのかなぁ」とは思いましたが、筆者のまた別の側面が見られたような気がします。
今回はハード本を購入したのですが、デザインが良くて手に取りました。中の挿絵が少女漫画チックなのが、この話をより鮮明にしている気がしました。挿絵にも注目して欲しい一冊です。
本日はここまでです。ありがとうございました。