日本司法書士会主催 業務研修会 裁判分野「物損交通事故訴訟に学ぶ主張立証の考え方」2日目【研修ログ】

似顔絵

第4講・第5講 主張立証の要諦①②

  • 物損事故の争点→①損害(種々の損害)②責任⑴責任原因⑵過失割合(事故状況を含む)
  • 損害→修理費用・レッカー代(確認はすること)・評価損(車検証から登録年度や年式を確認する)代車使用料・休車損害・訴訟代理人費用・その他(人身が発生しているかどうか)→照合記録簿の種別に「物件事故」と書かれているか
  • 営業車の場合は人が乗っていたかどうかを確認する→乗客が関わる場合は交通事故証明書に「乙⑵」として別ページに掲載される
  • タクシーの場合は走行距離が相当進んでいる事を考えると、評価損は考えにくい
  • 相手方がそのまま修理費用について認めるどうか分からないので、争点となり得る
  • 責任原因→道交法違反があるかどうか?
  • 事故状況→依頼人の言い分が正しいのか?→相手方が争っているような場合だと、事故状況も考える必要がある。
  • リスクを説明していなかった場合、依頼者からクレームとなることになる
  • 相手方からドライブレコーダーが出てくる場合もある
  • 訴訟するかどうか→①判決の見込み②コスト(費用と時間)③依頼人の意向→主張を維持できるだけの証拠、事情がそろっているのかどうかを検討する
  • 車が止まってから3秒から5秒くらいだと、停止中であるとは認定できない
  • 過失で勝っていても、損害額に開きがあれば損する場合があるので、慎重に検討する必要がある
  • 裁判をすると強く求めていても、受任通知を送って、示談交渉をするといい→消滅時効を気にする必要がある
  • 当事者間で全く応答していないような段階で、いきなり訴訟とはしない
  • 徐行(1㍍以内に止まれる速度) 合図無しを見て考える
  • 依頼者には、少し不利にいうようにしている(依頼者の期待値を上げすぎないように)
  • よほど原告側の過失が大きいときで無い限り100:0で請求する(私見)→印紙代
  • 過失割合の主張は裁判所は裁判所を拘束しないが当事者の請求額は裁判所を拘束するので、注意を要する
  • 確認しておくべき事情、準備をすべき資料①修理の事実の有無確認(領収書)②車の損傷写真③修理費用以外の損害の有無(裏付け資料)④事故現場での相手方の言動(どういう風に振る舞っていたか)→過失割合の言動について、事故現場での証言と訴訟になったときの言動で、変わることがある⑤相手方との交渉の経緯(時効中断事由になり得る事情があるかも)
  • 立証資料以外で、準備を依頼しておくもの→①訴訟委任状→裁判に至らない事案の時であっても、委任状をもらうようにする→反訴になれば、それ相応の委任状を準備しておく②法人の場合だと「代表者事項証明書」③委任契約書(具体的内容をキチンと書く必要がある。最低金額の設定もしておく)→弁護士特約を使う必要がある
  • 委任状をもらうと言うことは、責任が伴う→あまり早い段階でもらうことは控えた方が良い(依頼者との信頼関係)
  • 車両保険が使えるのかどうか(保険会社に聴く)対物賠償責任保険を使うかどうかの意思の確認も必要
  • 相手方の主張を潰す方法→①客観的な証拠から矛盾点を見つける②相手方の主張そのものが、おかしいかどうかを検討する
  • 事件の難しさ→客観的な証拠(DR、実況見分調書)がない、目撃者がいない、当事者同士の食い違いが激しい→どこで何を判断するのか
  • 物件事故報告書の略図をどのように評価するのか→事後現場での説明は少なくともそういう説明を当事者が行っていた→当事者の言い分が違っていたことで「説明の一貫性が無い」
  • 実況見分調書が無い場合だと、物件事故報告書を証拠として採用することが多い

第6講 主張立証の要諦③及び総括講義

  • 実際の裁判とするにあたっては陳述書と尋問をする事までやって、初めて裁判手続をしたということ
  • 半数は和解で終了する
  • 陳述書は証拠である→主張の中に盛り込んでおく
  • どれだけ主張が書いてあったとしても、証拠がなければ意味が無い
  • 陳述書の機能・効能→①主尋問代用補完機能(主尋問の時間を短縮でき、質問の漏れをカバーする)→尋問の直前に出す→陳述書で書いておいて、尋問で深掘りする②証拠開示機能(反対尋問の材料)→出てきた陳述書を精査して、突っ込みどころを考える③争点整理機能→物損事故訴訟ではあまり問題にならない
  • 陳述書の体裁上の注意点→陳述者のレベルに合わせる必要がある→話をするキャラや性格に合わせたものをかく(小見出しはつけない→そのような話し方をしないから)
  • 陳述書の作成方法→その人が言ったことを書面にしてはならない(尋問も本人に言いたいようにさせるものではない)→手書きのものはやめること
  • 主張を「ですます調」に変えただけの陳述書はダメ→当事者が言ったものは認定されないから
  • 陳述書の提出時期→事実関係が複雑なときは先に出さない(主張整理が終わってから出す)→後で食い違ってしまう場合があるため。ただ、物損事故訴訟では、客観的事実がある程度固まっているので、早めに出すのもあり
  • 裁判所はどのような見方をしているのか→陳述書は証明力としては重要視していない(旨く出来て当たり前)→旨く出来ていなかったら、マイナスに働くことになる
  • 陳述書の落とし穴→あまりこちら手動で作ってしまうと、代理人におんぶに抱っこしてしまう→本人に理解をさせる必要がある
  • 主尋問の異議・目的→話したいことを話させるものではない→語るべき事を語らせるものである(尋問は会話ではなく、証明したい事を必要に語らせること)→陳述書と整合性のとれた尋問事項を考える。客観証拠とのすりあわせをする。端的で明確な質問と答えを用意する。十分な打ち合わせ・練習をする。
  • 反対尋問の異議・目的→「主尋問の信用性を失わせる場ではない」→「主尋問の信用性に疑義を呈するもの」※多くを望み過ぎない。深入りをしない方が良い。→事前の陳述書との整合性の精査(相手方)→答弁書や準備書面との整合性が取れるか。端的で明確な質問をする。答えを想定した質問をする(闇雲にはきかない)→藪蛇にならないかどうかも考える
  • 証人を侮辱し、困惑させるような質問は絶対してはいけない(民訴規則115②)
  • 誘導質問→質問者の意図する答えが尋問者が分かってしまうような質問(「はい」か「いいえ」で答えるようなもの)→反対尋問は誘導尋問あり(主尋問は原則ダメ。但し顕著な事実や前提事実を確認させる場合はあり)
  • 誤導質問→前提を誤った質問を行うこと(そもそも述べていない事実を前提にした質問、供述者が否定している事実を前提にした質問)
  • 誘導尋問は訴訟技術の一つ、誤導尋問は恥
  • 異議は質問が出て、答えを言うまでにすること→流れを考えて、異議を出すのかどうかを決める
  • 誤導質問をそのまま答えさせるようなことになると、反対の事実(不利な事実)を認めさせた上での答えを言ったことになる
  • 異議が出された場合は、一旦呼吸をおいて、裁判所の判断を待つこと
  • 訴訟上の和解の機能・効能→任意履行の可能性が高い(といわれる)→自分で納得しているものだから(判決は、上から押しつけられている感がある)→物損の場合は、そんなに気にする必要はない(保険がある)
  • 判決となった場合の敗訴リスク回避(控訴審への移審リスク回避)→代理業務の継続ができない
  • 事案の早期かつ終局的な解決→依頼者の意思確認を慎重・入念に確認すること。
  • 電話だけで確認するのは危険である→メールなどでもキチンと返信をもらう→本人に和解期日に出頭してもらうようにする
  • 勝訴が見込まれる事案では、判決による解決の場合よりも金額が少なくなる
  • 裁判上の和解だと、債務名義になる→示談と異なる
  • 和解が打ち切りとなった場合の影響→和解の中でどういう風な条件設定をするのかを考える
  • 判決を書いた裁判官は控訴されたくない
  • 人身があったとしても自賠責保険が使えるのだから、(140万を超えるかどうか)分かるまでは相談を受けたほうがいいのではないか
  • 損害費目については、ある程度決着がついているが、過失割合は、そうとはならない
  • 交通事故の本人の記憶が正確でない→決定的な対策はないが、客観的証拠から確認をしていく必要がある→ある程度は仕方が無い→和解や示談で決着をつけるような方向で持って行く
  • 反対請求が来るのかどうかは、自分が動く場合ではあまり関係無いのかなと思われる。

まとめ

今日は実践的な内容になっていて、事例も、具体的で分かりやすい内容になっていたと思います。今後、交通事故案件をするに当たっては、かなり、参考になりました。
あとは、自分で経験と研鑽を積んでいくしかないなと思います。