第46回 全国青年司法書士協議会 ひろしま全国研修会 第7分科会「登記制度の変化に乗り遅れるな!現在から未来の登記制度に『つなぐ』」【研修ログ】

やっぱり、司法書士といったらという感じで、この分科会にしました。かなりの参加者が集まっていました!

研修ログ

第1部 行政手続のIT化と変わりゆく登記制度

  • 登記制度が根本から変わっていく→国を挙げての事業となっている
  • 2000年以降、平成13年E-JAPAN戦略→国が提供する実質的にすべての行政手続をインターネット経由で可能にする
  • 平成18年IT新革新戦略(U-JAPAN戦略)→平成25年世界最先端IT国家創造宣言→平成28年マイナンバー
  • 全体のオンライン申請→不動産30%会社32%
  • 原則オンライン化を推進している(適用除外・費用対効果の薄いもの以外)
  • 優先的な取り組みの推進→営業許可・社会保険・国税は負担に感じている手続→商業登記は9位、不動産登記は17位→行政手続コスト削減
  • 重点分野として「商業登記等」が対象となる(ヒヤリングが2月にあった)→ワンストップで会社が出来るようにしたいといったシステム導入が提案されている→ますます司法書士の商業登記に関する存在意義がなくなっていくのではないか
  • 戸籍とマイナンバーの紐付けが急務になっているのではないか→児童給付金等の手続など→不動産の方も淘汰されていく?
  • 法務局の統廃合(平成29年現在 416箇所)→1720あったものが統廃合されて今に至る→オンラインが推進していくと、もっと統廃合が進んでいくのかも
  • 平成16年不動産登記法改正 平成20年 全てと登記所が全てオンライン庁に オンライン申請別荘方式 乙号事務の民間委託開始
  • 平成22年 国の出先機関の原則廃止→法務局の事務及び権限の地方自治体への移管議論
  • 平成23年 登記印紙の廃止 登記特別会計の廃止→一般会計
  • 平成29年 法定相続情報証明軽度の導入→平成30年 V30方式の導入(作業効率の大幅改善、法務局の大量リストラ?)
  • 平成16年改正→書面申請・オンライン申請 当事者出頭主義の廃止 登記済証の廃止(登記識別情報)本人確認制度 登記原因証明情報の必須化
  • 別荘方式の見直し→半ライン申請を見直して、より完全オンライン申請方式に近づける→資格代理人方式によるオンライン申請の創設(平成29年後記の実施を目標としている)
  • 書面申請をなくす→オンライン化してしまえば非司法書士の部分も防止できるのではないか(本人申請がやりにくくなるが)
  • 資格者代理人等が電子署名したPDFデータが原本扱いになる(紙の段階だと「原資料」)→申請者の限定、電磁的記録の真正担保、電磁的記録を許容する添付情報の制限、資格者代理人の責任明確化
  • 資格者代理人方式は「電子署名及び認証業務に関する法律 第3条」に抵触する恐れあり→不動産規則上で解釈すれば良いのか?検討する余地あり
  • 登記原因証明情報も義務者押印から資格者代理人の電子署名になることで、ひな形等が変更することがある
  • 「原資料」の保管義務については、ない(根拠なし)→原資料の保管義務ありとなしで意見が分かれている
  • 真正担保の実効性についても、検討中
  • 使いやすいシステムにするために「登録免許税」の新たな納付方法について検討
  • インセンティブ→制度投入時から一定期間、登録免許税の軽減、乙号同時申請と手数料無料化、登記完了証の充実など検討されている
  • 登記原因証明情報作成に関与することで、登記の真正担保機能は向上するのか
  • 依頼人の登記済証、印鑑証明書、住民票の写し、委任状等のデータが悪用される恐れがある(経営難に陥った司法書士)
  • 執務にかなり影響がでる(原本の確認作業・保管方法・何かあったときの対応等)
  • 利用促進に繋がるのか?→資格者代理人方式にするメリットは「登記制度」の在り方が変わっていく

第2部 パネルディスカッション「デジタルガバメント時代の不動産登記と司法書士の役割を考える」

  • 平成16年の改正で残された課題→見直し必要?本人確認情報は資格者代理人は認められたが、登記原因証明情報の作成は認められなかった
  • フランスでは「本人申請」はあり得ない(公証人の面前でやっている)
  • 全部の情報をオンラインでするのなら、一人の権限で確認させてやったほうが良いのではないのか?
  • 行政手続は原則オンライン化→登記制度が適用時外になることはない
  • あまり壮大なものを作ってしまうと執務にかなりの負担になるおそれがある(午後からの決済等に影響が出るのでは)
  • 現行の登記原因証明情報作成権限は「当事者」(資格者代理人ではない)→資格者代理人が作成権限にするのであれば、責任が重くなるので、保険でリスクカットをする→オンラインで認証する権限のみ司法書士に与えるのか?
  • 司法書士がより踏み込んで登記原因証明情報の作成をやる必要があるのではないか(登記の専門家である以上)
  • 登記原因証明情報を司法書士が専門的に作成した場合は「要件事実」をキチンと理解する必要があるのではないか
  • 原資料の保管については「原資料」「のみ書類」「原本還付出来ない書類」「その他」について検討していかないといかない
  • 「原本資料」の保管方法に関しても検討していかないといけない
  • 事故したときの保険について「義務化」してしまった場合、いろいろ担保するものを検討していかなくてはならない。
  • 「研修制度」に関しては、一応新制度なので研修はするので問題ないが「本当に適正な実務が出来ているのか」を問うことができるのか?
  • ありとあらゆる添付情報も統合されていく必要性があるのではないか?制度設計に関して見直していく必要があるのでは?
  • 原資料を保管するということは「当事者間のトラブルに巻き込まれる」ことになるため、基本的には原資料はクライアントに返還することでいい。
  • 未来では「申請書」だけだすというのがいい(司法書士が全て確認することで問題ない)
  • オンラインの促進につながるのか?→インセンティブの問題は「司法書士」と「ユーザー」の側面を考えていかなくてはいけない
  • インセンティブのやり方を別の方法を考えていかなくてはならない(税金を下げるだけではいけない)→市民のメリットを考えていかなくてはならない。
  • 紙申請をやめてしまえば、司法書士がオンライン申請に関わることになり「より安全な不動産登記」が実現出来るのではないか
  • 印鑑証明書に頼る時代が終わるのでは?
  • 資格者代理人の欠点→不正が出来てしまう→「出来ない」方策を考えていかなくてはならない。
  • マイナンバーとの紐付けが出来るようになると「所有者不明地問題」も解決できるように
  • 現段階では採用はない(京都方式)→執務方法を変更しないと促進には繋がらない
  • ブロックチェーン技術(経済産業省が動く)→大型のサーバーが必要なくなる!
  • 取引慣行や司法書士の権限の見直ししていく必要がある
  • 司法書士が「公証」というものを持つのかどうか?→手続だけではなく「実態」に関わらなくてはならない→前段に関わることが重要になっていく
  • 一人の司法書士としてフルに関わって「専門性」をもって、取り組むことが重要
  • 大きな事務所の寡占化している→個人事務所で丁寧に関わっていくことが大事である
  • やるときはやらなきゃいけない→商業登記を完全オンラインをすすめていく必要がある!→企業にどれだけ関わって行っているのか。制度的に関わって、変えていく必要がある
  • 司法書士の使命は何か→答えは出ない→最後は自分で判断するしかない→よりどころとして「自分で考えた」使命と向き合っていかなくてはならない。

まとめ

この「登記手続」というのは、やっぱり司法書士としては根幹のところだと思います。

この「資格者代理人申請」というものが、完全オンライン化の礎として機能させていくためには、執務の仕組み、取り組み方、心構えを変えていかなくてはいけないと強く感じました。

また、最後の方で出てきた「ブロックチェーン技術」が登記制度に絡んでいくのではないかというのも、かなり興味深く感じました。

とにかく今、司法書士は「変わる」ことが求められています。

そこに注力して、業務をしていこうと思います。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

お気軽に読んでいただければ嬉しいです。