司法書士の不動産取引立会業務はこれでいいのか?「地面師による63億円の詐欺事件」から、仕事のやり方を変えていかなくてはならないと強く思う。

前代未聞の詐欺事件

こんな事件が起きました。

皆様の中には「だから何なの」みたいに思われるかもですが、私たち司法書士にとっては、かなりの衝撃ニュースです。

詳細はこちらになります。

かいつまむと「売主に身分証(パスポート)と印鑑証明書を偽造されて」なりすましにより63億円ほど持っていかれたというもの。

ここだけ読むと「業者が見抜けなかった」というのもそうですが(登記の専門家である)司法書士の未熟さが悪いやん」とかと言われてしまいそうです。

ただ、ここで皆様に「司法書士の不動産取引に関わる現状」をお伝えしておきます。

「不動産取引」の悪しき慣習では…

こういう売買に基づく名義の変更のお仕事は、仲介業者さんからの依頼が圧倒的に多いです。

その際に、自分の依頼者(になりうる方)の情報、不動産の物件情報、契約情報などが知らされます。

それを元手に書類等を準備して、取引当日に臨みます。

当日は、当事者さんから必要書類に署名捺印もらい、公文書等のチェックをその場で行い、OKならお金のやりとり、鍵の引き渡しを行います。

この流れから、何がわかりますでしょうか。

「司法書士は、取引当日にならないと当事者さん本人に会えない」(ことが多い)という現実です。

司法書士というのは「ヒト・モノ・イシの確認」が主要命題の仕事です。

ですが、今の不動産取引における慣習のもとでは、完璧な確認作業が出来るわけありません。

今回の事件ではこういう慣習の裏を突かれた詐欺事件だったということです。

この事件は、ある意味「不動産取引における司法書士の関わり方に、警鐘を鳴らす事件」なのではないかと思うわけです。

  • 不動産取引は「当事者(売主・買主)にとってとても重要なもの」なんだから、その代理人たる司法書士が、もっと前段階で関わって必要以上に関わらないといけない。
  • 不動産業者がイニシアチブを持っているから(持たせてしまっている)弊害が起きている(バックマージン・登記事案が大手事務所に偏っている・オンライン申請が浸透しない)ことに気づく必要がある。
  • 契約書の文言にいう「登記費用」というのは登録免許税のことを指す。つまり、登記を司法書士に依頼することを前提に作られているわけじゃない。なので、きちんと報酬の明記をして、きちんと貰わないといけない。

私のFacebook上のタイムラインでは、司法書士の諸先輩の先生方による、この様な論議がかわされていました。

司法書士が、価値のある資格者になるためには、この事件をきっかけに「司法書士の働き方を変えるべく」声を上げていかないといけないと思います。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます!

この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

お気軽に読んでいただければ嬉しいです。