【司法書士業務】遺言書の書き方:たった一文抜けるだけで命取り!

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先日にも遺言書を書くときのメリット等を書きましたが、思わぬ落とし穴があったりします。

遺言の落とし穴

おもわぬワナにかかります by PhotoPin
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民法第994条【 遺言の効力発生以前の受遺者の死亡 】
ⅰ遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
ⅱ停止条件附の遺贈については、受遺者がその条件の成就前に死亡したときも、前項と同様である。但し、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

つまり、遺言者よりも先に亡くなった方に対して、財産を譲るといった遺言は無効になります。

今回の事例

Xさんがお亡くなりになりまして、次のような遺言書が出てきました。

「遺言者Xは、ABCDEに対しこの土地を均等に遺贈します」

ところが、AさんとBさんはXさんが亡くなる以前に既にお亡くなりになっております。

こういう場合、土地はどのように分けられることとなるのでしょうか?

「CDEのそれぞれ均等に3分の1ずつ遺贈する」のではなく、「CDEにはそれぞれ5分の1ずつ遺贈して、残りの5分の2については、法定の割合で相続させる」という、何ともおかしな手続きをしなくてはいけなくなるのです。

遺言者の意思はどうだったのか?

そもそも、どうしてこういう遺言書を残したのかというと、

  1. 自分に子供がなく自分の兄弟がたくさんいる為、相続だとややこしいから
  2. 残された兄弟に均等に分けて上げたい気持ちがあったから

なんです。

ところが先程の遺言書だと、自分の意思が全く反映されていないことになってしまっております。

では、どうしたら良かったのか?

こういう時は、受贈者(遺言によって財産を譲り受ける人)が遺言者よりも先に亡くなった場合の事を考えておかないといけません。それで、そうなった時にどうするかも一緒に書かないとダメなんです。

例えば、

  • すべて財産をABCに均等に遺贈する
  • ABCのいずれかがXよりも先に死亡した場合、残りの者にすべての財産を均等に遺贈する
  • ABCのうちいずれか2名がXよりも先に死亡した場合、残りの者にすべての財産を遺贈する

といった具合にです。これを「予備的遺言」といいます。

せっかくの遺言が、たった一文抜けるだけで自分の意思を反映させられないものになってしまうことに注意が必要です

そういうことを含めて、ご相談がありましたら、何時でも頼りにしていただけたら幸いです。

本日はここまでしておきます。有難うございました。

この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

お気軽に読んでいただければ嬉しいです。