【読書】「死神の精度」伊坂 幸太郎 著

本日は、読み終わった本を紹介します。

ブクログレビュー

読書日数 18日

死神と一緒になった人間の、死神目線で楽しめる6編の短編集。とにかく、この筆者の設定は葉何かと少しずつ変だけど気持ちいい。

死神は人間の姿をしているので、調査対象者にはわからないようではあるが、死神である感覚と人間の感覚がずれているので、ちょっとした会話が噛み合わない感じもなんだか笑える。

この死神は、調査対象者が「事故または事件によって」命を奪う事について、許可を出すかどうかを調査するというもので、それを忠実に「仕事として」こなして行く姿に、自分について回られたら、どんな感じになるんだろうと思う。

ただ、この不思議な職業のルールのおかげで、対象者の命が守られたりする場面とかがあったり、その時に絡んだエピソードが、別のエピソードのオチに使われていたりと、死神の話なのに全く「ホラー的」なものにならないのも、読んでいて好感が持てた。

続編もあるので、楽しみにしておこう。

人間の死を決める死神の仕事

こんなかわいかったらいいんですが!

今回も短編集ですが、また変わった設定です。

死神「千葉」は、調査部というところに属していて、情報部から、ある人間について1週間調査をし、1週間後に「事故が事件による死」を執行していいかどうかを判断するという仕事をしているというものです。

千葉は、この「調査部」という仕事をとかく全うしようとする、本当に誇りを持って仕事をやり抜いています。大体の調査部の連中は、ろくに調査もせず「可」(死んでよし)を出すのですが、千葉は調査対象の人間にとにかく寄り添い、死ぬまでの1週間でその人物の様々な人間模様や人生観を感じようと試みます。

ただ、やはり死神であるので少し人間の感覚とズレているので、たまに会話が噛み合わない感じもなんだか笑えます。

あと「死神調査部のルール」が変わっていて、

「人間の全ての死を決めることはできなくて、病気や災害による死は対象外である」
「自分たちの調査対象者は、調査開始から1週間、つまり自分たちが見届けている間は、事故や事件によって死ぬことはない」

というもの。

このルールがあるおかげで、ヤクザの構成員が敵対している組に捕まった仲間を助けに行くかどうか迷っているのを千葉が後押ししてやる(自分が見守っている間は、どんなことがあっても事故や事件で死ぬことはないから)という場面があるなど、ちょっとした変化球的なオチも楽しめる短編集です。

なんかハマってきた


筆者が書く小説は何作か読んでいるのですが、読むたびに不思議な感じになることが多いです。

それは多分「設定の世界観」なんではないかと思います。とかく変わった設定が多いです。

それでも、何作も読んでしまうのはしまうのは、設定がかなりの変化球であっても、それを踏まえた上で登場人物の移ろいゆく心情に対して、かなり共感できてしまうことが理由なんだと思います。「自分でもそんな感じになるわ!」って思っちゃうんですよ。

筆者の作品は、ここ数ヶ月で何冊か読んでいますが、どの作品も設定が変わっているにもかかわらず、それを踏まえても「人間味あふれる」ストーリー展開が心地よいという感じです。

この作品も続編があるみたいなので、興味を持って読んでいこうと思います。

本日はここまでです。ありがとうございました。

この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

お気軽に読んでいただければ嬉しいです。