私たちの業務に大きく関わる判決が出ました。
和歌山訴訟とは
詳しくはこちらにもありますが「司法書士にしてもらった債務整理の事件が、業務範囲を超えている(いわゆる140万円以上の)」ということで、損害賠償400万円を請求しているといった裁判です。
もともと夫婦で30社以上、合計2000万円以上の借金があったらしく、それをとある「債務整理相談窓口」みたいなところへいったところ、そこの係の人が司法書士を紹介したんだそうです。
その際、相談者も窓口の係りの人も裁判の業務の範囲についてよくわからないまま「弁護士だろうが司法書士だろうがきちんとやるだろう」という認識だったそうです。
何故、こんな裁判になったのか?
私自身が勉強不足で細かいところまで把握していないのも問題はあるとは思いますが「相談者は、なんで訴えているの?」と、思ってしまうのです。
「司法書士の業務権限を超えているから損害賠償する」っていうのが何回読んでもわかりませんでした。あとは日弁連と日司連の法律上の解釈の違いで、第一審と第二審の判断が分かれているという感じです。
そして、第二審(高等裁判所)での判決が、司法書士にとってはかなり不利な判決となってしまいました。が、そんなことはどうでもいいと思っています。
そもそも「司法書士の業務権限を超えているから損害賠償する」っていうことに、違和感を感じています。
債務整理は「債務者の生活再建」だということは、何度か書かせていただいてますが、裁判を起こした原告(→債務整理をやってもらった依頼者)は依頼した司法書士に対して何か不満があったんでしょうか?
「(業務権限を超えるような)案件を適当にこなしたことによって(又は能力不足で)適切な手続ができてないから、その穴埋めとして損害賠償する」とかなら、まだわかるんです。
「法律解釈ゲーム」になってるんじゃないかなとも….
こんな風にも見えちゃうんです。
適用される法律の解釈がおかしいと思ったとしても「解釈おかしいよ!」といった訴えを起こすことはできません。ですが「損害賠償する」という裁判を起こすことで、その手続きの一環として「解釈がおかしいよ」といった内容に踏み込むことができるのです。その結果として裁判官が判決の理由に解釈のことを書くことになりますが、その判決が確定すれば基準になったり、それに伴う法律ができたりしていきます。それによって不利益を被る場合もでてくることも想像しておかなくてはならなくなってきます。
この先、どういう展開が待っているかは分かりませんが、私自身は、まず「依頼者のために何ができるか」ということを重点を置いて取り組むことだけを考えていきます。
本日はここまでです。ありがとうございました。