【読書】「何者」朝井リョウ 著

本日は、本を紹介します。

ブクログレビュー

読書日数 5日

4人大学生の男女が、自分のそれぞれの思いで就活をしていく中で「何者」になっていくのか向かい合いながら過ごしていくというストーリー。

主人公はとかく「他人を分析して、それを「自分ではない何者」になって批判する」といった、よくいる(私もそうかも)人間なのだが、そういった「他人を評価する」だけの人生を送っているようでは、結局は何者にもなれないということに気づき、最後には「自分はカッコが悪い」と認めて、それを今後に生かそうと前向きになっていく。

twitterの「裏アカウント」についての言及や、今の大学生の周りで巻き起こっている「就活」について勉強になった。こういった気持ちでつぶやくのかとかも、大いに参考になった。

「どんなに頑張っても『何者』にもなれない。自分でしかない、ダサいカッコ悪い自分を理想に近づけることしかできない」

この言葉が心に刺さった。他人を評価したり分析したりする時間を「自分を分析する時間にあてて」、考え続けて「自分がどうありたいのか」ということを毎日必死で考えていくこと。これが大事なのである。
『何者』のレビュー 朝井リョウ (prelude2777さん) – ブクログ

「何者」になるのか

何になるんダァー!
何になるんダァー!

今作は、今時の大学生の就活(就職活動)にまつわるものでした。

私が経験した就職活動は、ほぼ一日で終わりましたので、そんなに苦労することはなかったのですが、今の時代は本当に就職が大変な時期ですね。

主人公は、就職浪人の5回生(これはあとの方でわかるのですが)で、自分の同級生が初めての就職活動をしていく様を「観察しながら」一緒にやっていきます。
【就活ネタ】まねしちゃダメ!就職活動で見たイタすぎる就活生 – NAVER まとめ
こういうまとめがあるんですね。

ところが、肝心の自分には内定がこない日々。

そんな中、同級生の就職活動や生活、そして考え方を批判分析してTwitterの裏アカウント「何者」でつぶやいているんですが、それを最後に見つけられて、ずはりと指摘されます。

「ダサくてカッコ悪い自分を理想の自分に近づけることしか、もう私に出来ることはないんだよ。」
「自分は自分にしかなれないんだよ。(中略)今でも、ダサくて、カッコ悪くて、醜い自分のまま」
「だけど、この姿であがくしかないじゃん。」
「(中略)カッコ悪い姿で、がむしゃらにあがく。その方法から逃げてしまったら、他に選択肢なんてない」
本書P311-312より、抜粋)

この言葉が突き刺さります。

「自分」になるために


最近では「働き方を選べる時代になってきた」ということで「独立するのがかっこいいー。それ以外は何やら…」とか言う方をよくお見かけするようになったなぁと思っています。

でも、就職をする人だって、それはそれで「自分がどうなりたいか」を真剣に考えた結果、その人の選んだ道なんですよね。

そんな私も「他人のことを比べて分析批判している」と思います。ただ、それは自分の考え方として受け止め、それに共感をしてもらおうとは極力思わないようにしています。

でも、どこかで認めてもらいたいという気持ちはありますが、それでも発言・発信するときは注意しているつもりです。

この主人公は最後にようやく「自分とは何か」「自分のカッコ悪さを受け入れる」ようになります。私も「出来る範囲」でシッカリ前を向きたいと思います。

最後に、今回はTwitterのツイートを見ていきながら物語が展開されていくという、変わった感じのお話でしたが、Twitterのつぶやきや、それをどう解釈していくのかも、この物語のキーワードでもありました。

「だって、短く簡潔に自分を表現しなくちゃいけなくなったんだったら、そこに選ばれなかった言葉の方が圧倒的に多いわけだろ。」
(中略)
「だから、選ばれなかった言葉のほうがきっと、よっぽどその人のことを表しているんだと思う。」
本書P204)

TwitterやFacebookなどのSNSをしている私たちとしては、この言葉を身に染み込ませておかなくてはいけないのかもしれません。

本日はここまでです。ありがとうございました。

この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

お気軽に読んでいただければ嬉しいです。