本日はちょっとこんなテーマで書いてみようかと思います。
登記簿は果たしてどこまで正しいのか
私たち登記手続代理業務をしているものとして、このテーマは永遠のテーマになっています。
というのも、民法177条では
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
となっています。これは専門的には「登記によって第三者に対する対抗要件を備える」と言います。
例えば不動産の売買で考えてみます。
売買契約は「当事者間の口約束」で所有権が移転するのが大原則です。登記を備える必要はありません。ただ、当事者以外の人たちに「ここの家は俺が持ってるねん」と言うためには、壁に名前を書くわけにはいかないので、法務局にて「登記手続」をすることで、皆にわかってもらうことができます。
裏を返すと、「登記簿に書いてある日付の時点では登記簿に書かれた人の名義だったと言えるだけ」で、実際は口約束により別の人のものになっているかもしれません。ですから、登記があるから安心だとは一概には言うことが出来ないということを頭においておく必要があります。
書類さえ揃っていれば手続きできる
登記官は、不動産の売買契約の現場に立ち会うわけではないので、中身まではわからないのが普通です。
その代わりに「一定の書類が揃っていれば売買契約によって名義が変わったことにする」というのが原則なので、「ウソの書類でも」登記ができてしまうという現実があります。
私たちに課せられた使命
私たち司法書士はこういった登記手続法の限界を埋め合わせるべく「高度な倫理観」を持ってお客様から手続き依頼をもらい、そこに神経を尖らせることで、安全安心に登記手続きを進めていっています。
「書類揃っとったらええやん」ではいけません。そういう人達が蔓延してしまったら登記制度そのものが形骸化されてしまいます。そういうことがないように全力で業務に取り組んでまいります。
本日はここまでです。ありがとうございました。