【司法書士業務】士(サムライ)業として生きるということ

今日はこんなニュースを見て、感じてしまったことを書いてみました。
相続書士を商標登録、事業展開へ エンディングノート助言など 経済 福井のニュース |福井新聞ONLINE:福井県の総合ニュースサイト

相談者が混乱するのでは….

うーん
うーん

こちらのニュースソースを読んでみると、

組織の名称は「日本相続書士協会」。福井市を本部として富山、名古屋、大阪市で活動する行政書士、税理士などの専門家とともに、4拠点で発足する。研修制度を設けて相続書士を養成し、登録したメンバーが依頼者の相談に乗り、専門家への橋渡し役を担う。相続に関する講演会の講師としても派遣する。(相続書士を商標登録、事業展開へ エンディングノート助言など 経済 福井のニュース |福井新聞ONLINE:福井県の総合ニュースサイト

だということです。

これって、自分の仕事の首を絞めている(もしくは自分が所属する業界の首を絞めている)ようにしか見えないような気がします。

多分、相続トラブルに携わっている相談者としては「司法書士」とか「行政書士」とかよりも「相続書士」に依頼したほうがいいって考えると思います。(専門家の名前に「相続」という言葉が入っているから分かりやすい)

でも、最終的に相談者は専門家(司法書士や行政書士)に頼んだりするわけです。さらに揉めたりした場合だと「弁護士」にしか頼むことができないわけなんです。

だとしたら、ただ「相続書士」という第三者が一人登場するだけになってしまいますよね。

基本的に揉め事は

登場人物(専門家も含みます)が増えれば増えるほど揉める

というのが相場です。

士(サムライ)業という看板を背負うということ

いろんな責務が降ってくるんですよ。サムライ業って
いろんな責務が降ってくるんですよ。サムライ業って

「もしかしたら、司法書士法第73条第3項に抵触するのではないか」という先輩の司法書士の先生からの指摘もありました。

第七十三条  司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者(協会を除く。)は、第三条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
2 協会は、その業務の範囲を超えて、第三条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行つてはならない。
司法書士でない者は、司法書士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
4 司法書士法人でない者は、司法書士法人又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
5 協会でない者は、公共嘱託登記司法書士協会又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。

それもそうなのですが、私個人として簡単に「士」という名称を与えるのも如何なものかと思ってしまうんです。

私たち司法書士は年に1回だけの司法書士試験があります。前年度は少し合格率が高かったと思いますが、基本的に3%前後です。
司法書士試験 合格者データ|司法書士|司法書士試験|LEC東京リーガルマインド

私もそうでしたが、ここを目指すのに少なくとも3000時間、それ以上に時間やお金を費やして、ようやく「有資格者」として認められます。多分他の士業でもそれぐらいの時間やお金を費やしていると思います。

ですが、これだけでは司法書士にはなれません。
「司法書士会」に登録して初めて司法書士として業務ができるようになっています。(司法書士法第8条)
そして、司法書士になれば「常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない(司法書士法第2条)」義務があります。そのために、たくさんの研修会が行われていて、必要に応じて自己研鑽を継続していかなくてはいけません。

業務についても「職業倫理」や「プロフェッション」ということに真摯に向き合って、依頼者に接する。これこそが「士業」ないかと私は強く思うわけです。
【司法書士業務】司法書士の専門家責任㉕〜司法書士をめぐるその他の問題(エピローグ)〜 | ミナトノキズナ〜司法書士 岡田事務所
「プロフェッションとは」について書いてます!

依頼者にとっては、どうでもいい問題かもしれません。誰が解決しても関係ないですから。

ですが、法律専門家が「プライド」を持って、依頼者に接することができ、しっかりと連携することを心がけていればいいのではないかと思ってしまうわけです。こういった紛らわしい言葉を法律専門家が作ってしまうことが、残念だなぁと思ってしまいました。

法律専門家としては「ビジネスだけ追っていてはダメ」というのが、私の持論です。

というわけで、本日はここまでにしておきます。有難うございました。

この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

お気軽に読んでいただければ嬉しいです。