【司法書士会】全国研修会in熊本 2日目

昨日の「兵庫ナイト」を堪能しました。
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【司法書士会】全国研修会in熊本 1日目 | ミナトノキズナ〜司法書士 岡田事務所
昨日のレポです。

ご当地グルメもしっかり堪能し、熱い司法書士論議もできたこともあって、爽やかな朝を迎えることができました。

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「不動産登記制度から考える司法書士の流儀〜マイナンバーによって実務はどう変わる?〜」

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本日も分科会が6つ用意されていましたが、受講したのは「不動産登記制度から考える司法書士の流儀〜マイナンバーによって実務はどう変わる?〜」でした。

来年度から本格的に実施される「マイナンバー」なんですが、実際のところ様々な情報が飛び交っていて、正直よくわからないというのが本音なのです。なので、ここらで一回がっつりと学びたいというところでこの分科会を選択してみました。
マイナンバー社会保障・税番号制度

基調講義「マイナンバーの基礎知識」

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  • マイナンバーの導入の背景には「税金をきっちりと納めてもらうため」というものがある。
  • 2007 年金問題→日本の氏名は名寄せが困難(氏名で個人を特定することの限界)住所も氏名も申請主義のため申請しなければ変わらない。(これは不動産登記にも当てはまる)
  • 2012 社会保障・税一体改革大綱・2014 消費税の増税(8%)国民のう所得を正確に把握するための「社会的インフラ」を整備する必要があった。
    「見える番号」→行政機関だけでなく民間でも使用できるためにするため(住民票コードは行政機関のみでいようするので「秘密の番号」)
  • 一応マイナンバーは特段の事情で変更することができるようになっているが、要件は厳しいと思われる。
  • 目的が正しいものでなければ、情報を連携することはない。(社会補償・税・災害対策に関連しているのかどうかを確認してから)
  • 有効期限は未成年は5年、成年は10年。また、死者の個人番号も含まれる(それもマイナンバーの制度の一つ)
  • マイポータルを使って住所等が変更されたことを送信すると、関連するものすべての住所変更ができる(免許証から、あわよくば銀行口座の住所まで)
  • 公平な配分を実現することに資する社会インフラ→市役所間・部署間の情報連携の促進(要支援者の情報の共有)
  • 法人番号に付番する対象①国の機関②地方公共団体③登記設立法人④一定の要件を満たす法人格のない社団等→10月下旬以降に番号が付番される予定
  • 申告書・法定調書に番号の記載が開始される時期は2016年1月以降。
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  • 銀行の預金に関してのマイナンバーの告知は任意だが、将来的には義務化される可能性あり。
  • 連携分野の拡大→医療・預貯金(8月法改正済み)→戸籍事務・旅券事務・自動車登録にも範囲が広がる可能性
  • 個人番号カードの用途の拡大→印鑑証明書・住民票・戸籍謄本のコンビニ交付等
  • 韓国でも幅広く使われているが、簡単に個人番号が流出したため、秘匿する方向で進んでいる。
  • 国家管理社会の危機感(どんな風に使われるのかがわからない)や、なりすまし被害の可能性
  • 個人番号を持たない人への対応(戸籍や住民票を持たない人→ホームレス)個人番号とは「バーチャル」な世界である→ホームレスの人たちやDVで(住所に登録していない)避難している人に対しては、どのように対応していくのか
  • 今後は違憲訴訟が出てくる→「共通番号いらないネット」というサイトもある。

  • 個人番号カードが普及するかどうか→国民が本当に利用するのかどうか→更なる連携拡大の可能性はあるのか→不動産登記に連携するのか?

<パネルディスカッション>「不動産登記とマイナンバーの活用〜来るべき電子情報社会の想像と創造〜」

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  • マイナンバーの制度の誤解が結構ある→「銀行の口座番号」と同じ(cf.登記識別情報は「キャッシュカードの暗証番号」と同じ)
  • マイナンバーが出たこと自体が情報漏洩ということではない→マイナンバーから引き出せる情報については、特定権限のあるものしか情報を引き出せないから。
  • マイナンバーでは性別さえ推測できない→個人情報は今までどおり分散して保管されているから
  • 添付書面の省略(形式的審査主義の限界)→住民票・印鑑証明書は省略できる可能性あり・電子署名も可能。評価証明書も税の方で可能
  • 「マイナンバーは、亡くなった人には出せない」ので、完全には紐付けできない。
  • 司法書士としては、マイナンバーだけでは情報を確認することはできない→マイナンバーを使えるような権限をもらえれば、依頼者から原本をもらう必要はないが、そうなるまでは、やっぱりもらう必要がある。
  • 登記はもともと訴訟である(裁判所管轄で非訟事件)→今までは裁判所が実質的に審査していたが、時間がかかることがあったので、形式的審査に移っていった。
  • マイナンバー制度を導入した真の目的は何か?→カウンター内部の負担軽減の話であって、(名寄せをするためのもの)「添付情報の省略をすることは、一つの要素でしかない」し、あくまでも司法書士は「カウンター外部」でしかない。
  • 申請情報の省略(マイナンバーを書くことで、住所・氏名の代わりになるのか)→申請代理人も、登記官も結局情報を再確認することになるので、意味はない。それより、マイナンバーを1桁間違えるだけで、他人の申請になる可能性があることを忘れてはいけない。
  • 銀行の手続きで「銀行口座を書いた下に名前を書くのは『本人確認』をするため」である。→マイナンバーだけでは真実性を欠く
  • 番号がわかっただけでは、なりすましはできない→(添付書面が省略できるようになってしまったら)本人申請の場合はできる可能性が高い。
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  • マイナンバー導入は行政手続きの簡略化と国民の利便性の対立があるのではないか→行政機関全体の一元化には寄与するのではないか→それが「登録免許税の減額」になることの期待はある。
  • マイナンバーが進んでいった場合には行政の一元化になるわけだから「すべて本人申請」にできるのではないか→登記業務は司法書士として捨てて、裁判と31条業務だけに生きることにもなるのではないか→行政の簡略化だけでは本来の権利の擁護にはならない。(原因の部分を守るということが、本質部分である)
  • 申請主義は、あくまでも「コストの削減のため」(必要悪)→これを「私的自治の原則」にすり替えている歴史がある。
  • 日本は独自の「意思主義・対抗要件主義」が取られている。(フランスがモデルになっているようだが、フランスの意思主義は「書面主義」<書面がなければ、証拠となさない>である)
  • 登記事項にマイナンバーのみを記載することもあり?→自分の電話や住所を電話帳に載せない時代に、登記事項には住所・氏名を載せる必要が本当にあるのか?
  • 電子情報社会が進んでいくにつれて、司法書士が不動産登記の制度改革に関わっていくことが重要である。
  • 住所変更・氏名変更・相続登記については職権でやるという提言を日司連で提言することもありなのでは…
  • まとめ

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    全国研修会という形で、2日間「自分の聞きたい研修を選択して」がっつりと受けたのは、司法書士になって初めての経験でした。この2日間の研修を通して「司法書士として、自分がどう言った形で貢献することができるのか」ということを考える、いい機会でもありました。

    また、長い研修のアウトプットをすることで、受講した研修の内容に踏み込むこともできたので、よかったと思います。

    早々に、熊本を後に、帰路につきました。(おみやげは、ちゃんと購入しましたが)
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    というわけで本日はここまでです。また、次回の全国研修会も参加してみたいです。ありがとうございました。

この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

お気軽に読んでいただければ嬉しいです。