以前の投稿で「遺言書も一文抜けているだけで命とり」となるような事を書きました。
遺言というのは「ご自身がお亡くなりになった、後に残された方々に対する意思表示」です。
せっかくご自身で「残された方にこうしてあげたい」と思っていても、その遺言書の要件が満たされていないために遺言そのものが無効になったり、書き方によっては、有効にならないものも出てきたりとなれば、本末転倒です。ですが「法律行為」である以上、守るところは守っておかないといけません。
幾つかの注意点を書いてみようと思います。
自筆証書遺言の要件(民法968条)
- 必ず自筆であること
- 日付が明記されていること
- 印鑑が押印されていること
これは「自筆証書遺言」である以上、当然といえば当然です。ワープロ作成ではいけません。
作成した日付かきっちり書いていないといけません。「〜年〜月」とか「〜月吉日」ではいけません。
これもそうです。ただ、実印でなくても構いませんが、改竄などの恐れがありますので出来たら実印を押す方が望ましいと思います。
遺言の文章における注意点
人物の特定の仕方は?
対象にする方を特定する時、住所と氏名で特定すると、仮にその人が引っ越せば遺言書の人物とは別人になってしまいますので、その都度書き換えなくてはなりません。
そのため「○○の長男 生年月日昭和◎年◎月○日」というふうに、戸籍上の続柄の記載と生年月日で特定させると良いとおもいます。
不動産の特定の仕方は?
基本的にその不動産が存在する「住居表示」でも良いとは思いますが、「登記記録に記載された表示」を丸々書いておく方が無難です。
「相続させる」と書けばお得!
自分が亡くなったら不動産を残された家族(ご自身の推定相続人)に譲る場合、「〜に相続させる」と書いておきましょう。
なぜなら、「〜に遺贈する」とか「〜にあげる」などと書けば、登記手続の際に登記所に支払う登録免許税が「不動産評価額の2%(1000分の20)」なのに対し、上記のように書いておくと「不動産評価額の0.4%(1000分の4)」で済むからです。遺言書の書き方だけで節税が出来ると言うわけですね。
自筆証書遺言のメリットは「誰にも見られないこと」ではありますが、注意点がたくさんあるため、慎重に作ることが求められます。
法律的に間違いのないものを作るには「公正証書遺言」をオススメいたします。これについては、次回の機会にしたいと思います。
本日はここまで。ありがとうございました