【司法書士業務】「過払い返還訴訟」を最後まで闘って分かった金融業者の泣き所

今回の事案で、かなり私の認識が変わりました。

時間がかけられるなら

とにかく「時間」とのバランスが大事です!
とにかく「時間」とのバランスが大事です!

最近、過払いに取り組む弁護士事務所のCMが、数多く流れてきています。
過払い金請求のCMが多い”ワケ” – NAVER まとめ
こんな「まとめサイトがあるんですね!!」

私も、そのことについてエントリーをしております。

【司法書士業務】「過払い返還請求訴訟」を起こす前に考える大事なこと | ミナトノキズナ〜司法書士 岡田事務所
何をするにしても「バランスが大事だ」と思うのですよね。一昔前までは電車の吊り広告などで、司法書士の広告が入りまくっていましたが、ここ最近では弁護士事務所のポスティング広告が目立つようになってきています…

私が今回、過払い返還請求について依頼を受けた時、依頼者の方からは

「最後まで(判決を取るまで)戦ってほしい」

という方でした。

「早く解決させようとする」だけの専門家には絶対ならない!

「ちゃっ」とやっちゃうだけではダメです!
「ちゃっ」とやっちゃうだけではダメです!

今までの経験上、「最後(判決)までやる」というところまで長くすることは、依頼者様にとって、本当に意味があるのかとも思うところがありました。出来るだけ早く解決する方が、ある程度の纏まったお金が戻ってくるし「借金のこと」から解放される方が依頼者の方にとっていいと思っていたからです。

ですが、それを考えているのは金融業者も同じことです。
「なるべく費用と時間をかけずに終わらせたい」
と考えています。

こんなサイトがあることを、依頼者様から紹介されました。
庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

こちらの弁護士の先生は、粘り強く金融業者と戦っておられて、様々な反例や事案の解説をエントリーされています。かなり参考になりました。

そんな力も借りながら、最後まで交渉しました。その結果見えてきたものがありました。

「金融業者は裁判を嫌がる傾向にある」

ということです。

過払い金返還請求(不当利得返還)の裁判の管轄は

  • 「債務者の住所地」(原則)
  • 金銭債権による「債権者の住所地」を管轄とする裁判所

民事訴訟法第3条の2、第3
条の3)

となっています。

で、訴える側(原告)は、上記の管轄裁判所から好きな方の裁判所に訴えればいいわけなので、当然ながら、自分の住所に近い「債権者(過払いを請求する側)の住所地」を管轄する裁判所に訴えを起こすわけです。

そうなれば、相手方である金融業者は大抵東京に本社があるわけですから、裁判手続きをするためにはお金と時間をかけてこちらまで来ないと原則できません。お分かりだと思いますが、裁判が長くなればなるほど(回数が増えれば増えるほど)業者の経費がかさみます。

仮に金融業者に若干有利な論点で争ったとして、それが裁判官に認められることになるとしても、その手続きをするための弁護士費用などにかかる経費を考慮した場合、かえって業者側の費用倒れになってしまう可能性が考えられます。

なので、裁判前に金融業者側から「もっともらしい論点をネタにして、過払い金をマケられる恐れがある」ような場合には、専門家に相談してみて、あえて裁判をおこしてみるのもいいかもしれません。

裁判は「裁判官を納得させる」場所であると私は考えています。なぜなら裁判は裁判官の心一つで判決が決まるからです。(自由心証主義-(民事訴訟法第247条)

自由心証主義(じゆうしんしょうしゅぎ)とは、訴訟法上の概念で、事実認定・証拠評価について裁判官の自由な判断に委ねることをいう。 裁判官の専門的技術・能力を信頼して、その自由な判断に委ねた方が真実発見に資するという考えに基づく。(自由心証主義 – Wikipedia

嘘の証言や証拠捏造は絶対ダメですが、「裁判官も人の子」ですので、態度や証言の解釈一つで判断も変わってきます。そういったことを踏まえて、過払い請求訴訟に取り組む必要があります。

ただし「決着するのに」相当の時間がかかることはの覚悟は必要です。「すべてが終わるまでは借金問題が解決しない」ということになりますので、その辺りをしっかりと認識して取り組む必要があることを心に留めておいていただきたく思います。

依頼者様のニーズや事情に合わせた方針を「依頼者様と一緒に決めていく」ように対応していますので、皆様の周りでお困りの方がいましたら、お電話一本いただきたく思います。

というわけで、本日はここまでにしておきます。ありがとうございました

この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

お気軽に読んでいただければ嬉しいです。