【読書】「サラバ!(上)」西 加奈子 著

本日は、読み終わった本の紹介をします。

ブクログレビュー

読書日数10日

一人の少年の半生記。生まれた時から高校2年生までのことが綴られている。

イランで生まれた主人公(歩)が姉の貴子と母に翻弄されながらも「いかに自分が目立たなくいい人でいられるか」ということ、そして「自分という気配を殺して生きる」ということに執念を燃やすような行動をとり続けることで、様々なことに巻き込まれながらも、それなりに懸命に生きていく姿が、描かれている。

日本では破天荒な姉だったが、エジプトでの初恋をきっかけに母親とも反りがあい、しばらくはうまく時が流れていたが、父親の浮気(だと思うが)がもとで、離婚をすることになっていく。

そんな中で、主人公が出会った一人のエジプト人「ヤコプ」と交わす「サラバ」という言葉。

この言葉を心で唱えていれば、つながっていられるという、小学生ではなかなかそう言った感情にならないのではと思うことを主人公は、この壮絶な環境に必死で適応しようとしてそうなったのだと思う。

そんななかでの姉の「宗教家」としての活動、母の色恋沙汰、そして高校生になった自分がどう言ったことを思い青春時代を過ごしていくのか。

楽しみに読みたい(『サラバ! 上』のレビュー 西加奈子 (prelude2777さん) – ブクログ

「いかに普通に振る舞うのか」というに懸命になる

目立たないことがとても重要!
目立たないことがとても重要!

この主人公は、イランで生まれて、すぐに日本に帰国しますが、小学校1年生で「エジプト」に引っ越し、5年生の時に「父親の『不穏』」のせいで、離婚・別居に付き合わされるという、壮絶な人生を親の都合で無理やり送らされます。

また、4つ上の姉は、とにかく「自分を見ろ」という欲求が強すぎて、いろいろと事件を起こします。そんななかで自分は弟として「家庭のなかでいい子を演じる」ということを選択し続けることで、自分の平穏を保とうとします。

そういうことを思いすぎて生活しすぎた結果、初恋の人に対しても、自分の素直な気持ち(というか、世間一般的な人の思う「素直な表現」)をいうことができなくて、困ったりします。

そういった壮絶な人生のなかで、主人公がエジプトにいた時に親友になった「ヤコブ」とのエピソードが、結構印象的です。本の題名でもある「サラバ!」という言葉が出てくるのですが、

いつしか僕もヤコプを真似て、「サラバ」というようになった。そして僕らの「サラバ」は果たして、「さようなら」だけではなく、様々な意味を孕むようになった。「明日も会おう」「元気でな」「約束だぞ」「グッドラック」「ゴッドプレスユー」、そして、「俺たちはひとつだ」
(中略)その3文字を呟くと、僕はそばにヤコブがいてくれるのだと思えた。ヤコブのにおいを、ヤコブの気配を感じることができた。そしてそれは、僕を安らかにしてくれた。だから僕は家の中で一番、「サラバ」を口にした。(サラバ! 上209P)

とあるように、その言葉が親友の絆と共に主人公の心に深く入っていく様が、なんとも印象的な感じでした。

初めての作家さんだった

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この本も「読書芸人」オススメ本です。
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結構、表現方法もわかりやすく、それでいて変わった感じがします。また「面白エピソード」が本当に満載で、今後キモになる「サトラコヲモンサマ」がどうなるのかとか、高校になって付き合いだした「ヤコブ」以来の親友の「須玖」との関係がどうなるのかとか、本当に気になります。

結構、単行本としてはかなり分厚く、読みきるのに時間がかかりました。後半は、もうちょっと集中して読むようにしていきたいと思います。

本日はここまでです。ありがとうございました。

この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

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