本日は久しぶりに商業登記の話をしてみようかと思います。
平成18年に商法が会社法へと改正されました。
この改正の目玉の一つとして、会社の株式全部に譲渡制限が付いている会社(専門的には「非公開会社」と呼ばれます)の役員の任期が最長10年に伸ばせるようになりました。
株式会社の役員の任期
詳細はここにも載っています
また、会社法改正前にあった株式会社は「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(いわゆる整備法)の中で調整されています。
ここで、今年度の決算にかかる定時株主総会の終結をもって任期が満了になる会社が出てきます。
どういう会社かといいますと「平成18年5月1日以降に役員の任期が満了になる直前の株主総会で任期を10年に伸ばした会社」です。
つまり、取締役の就任(もしくは重任)した年が平成16年であれば、今年で10年を迎える可能性があります。
逆に監査役の場合、平成14年が最終の就任(もしくは重任)になっていて前述のように定款変更をした場合、任期が10年だとしても平成24年で満了してしまっていることになります。この状態だと「登記懈怠(やるべき登記をやっていない)」となります。
役員の任期の計算は意外に難しい
何故そうなるのかについては割愛させてもらいますが、任期の計算方法は単純に「2年」とか「4年」とかではないのです。私たちの司法書士試験でも必ずと言っていいほど出題されます。
普段あまりそういうことをお考えにならないので、気が付くと任期切れが起こっていることがあります。
どっちにしろ登記をしなければなりませんが、最近こういった登記懈怠はカナリ厳しくなっており、すぐ裁判所から過料の通知が来ます。
会社の登記に関しては,原則として登記すべき期間(登記期間)が定められています。登記期間は原則としてその登記の事由が発生したときから,本店の所在地においては2週間内,支店の所在地においては3週間内とされています(会社法第915条第1項,第930条第3項等)。
「登記の事由が発生したとき」とは,それぞれの登記により異なりますが,新たに取締役が就任した場合は,取締役が選任された株主総会決議の日ではなく,当該取締役が就任を承諾した日となります(当該取締役が株主総会に出席し,就任を承諾している場合には,株主総会決議の日と同時になります。)。
登記期間内に登記の申請を怠り,その後において申請をする場合であっても,登記申請は登記期間を経過していることを事由として却下されることはありませんが,過料の制裁に処せられる可能性があります(会社法第976条第1項第1号等)。~『法務省:商業・法人登記 Q&A』より抜粋
ですので、そうならないためにもこういう事案が有りましたら、何時でもお申しつけください。
本日はここまでです。ありがとうございました。