「蜜蜂と遠雷(恩田 陸 著)」を読んで、ピアノコンクールの過酷さの中に、人間力を成長させる仲間の存在の大きさを知る

読後感をまとめてみる(ブクログレビュー)

著者 : 恩田陸
幻冬舎
発売日 : 2016-09-23
読書日数 21日

とある日本で開催されたピアノコンクールで、運命的に4名のコンテスタントがであい、それぞれがコンクールを通して音楽観や人間力を成長させていくというストーリー

パリ予選で、とんでもないルーキーが突然登場し、土だらけの手で、物凄い演奏を聞かせる。しかも推薦者が、今は亡き、天才を欲しいままにした音楽家だった。

そんな出来事から始まったコンクールだったが、それに導かれるように3人のコンテスタントの運命を変えていく起爆剤にもなるのだ。

最後の書き方がすごく印象的だった。「おっ!」みたいな感じだった。

これは音楽をやっていた自分には、それとなくわかる気がした。なんとも言えない緊張感や、周りの人たちの思いとかも凄く描かれていて、その人たちも彼の登場で、どんどん思いが変わっていく様もよくわかって、清々しい感じだった。

昔習ってたことが蘇る!

この本は直木賞と本屋大賞をダブル受賞した作品です。

タイトルだけ見たら「なんかの叙情的なやつなんかな」と思って手に取ったのですが、1Pに「芳ヶ江国際ピアノコンクール 課題曲」という文字!

ピアノコンクールの話だったんです。

私も幼少期にヤマハ音楽教室でピアノを習っていて(習わされていて)コンクールとかにも出た経験があります。といっても、そんなに記憶ないけど。

ただ、この漫画は(ドラマ)は好きでした!

この「みんなで高め合っていく感じ」とかが好きなんですよね。

天才少女の復活劇に、胸がジーンと!

で、この作品で特に注目した人物は「栄伝亜夜」でした。

天才少女と言われ、母親とともに若くしてプロのピアニストとして華々しくデビューした彼女。それが母親が亡くなったことをきっかけに、スランプになり、ついにはリサイタルの最後の曲を演奏前に逃亡し、そこからはピアノには触らない日々を過ごします。

そんな彼女が、復活のきっかけをくれるのが「風間塵」、いわゆるこの物語のキーパーソンである「異端児」です。

彼の音楽性に親和されていくように、どんどんと覚醒していき、最後には

「自分の中には、ちゃんと音楽家としての血が流れていたんだ」

ということに気づいていきます。

こういう

「お互いを高めあえるような仲間に出会う」

という場所があるというのは、とても良いなと思います。

自分にも、何かしらそういった場所があると良いなと思います。

音楽の世界に少しでもいた方には、オススメですね。演奏の描写は、バックグラウンドの事も書かれていて、とても読みやすかったです。

読むのに時間はかかりましたが、自分としては読みやすい部類だったと思います。500ページ以上ありましたが。

というわけで、ありがとうございました。

この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

お気軽に読んでいただければ嬉しいです。