読後感をまとめてみる(ブクログレビュー)
とある日本で開催されたピアノコンクールで、運命的に4名のコンテスタントがであい、それぞれがコンクールを通して音楽観や人間力を成長させていくというストーリー
パリ予選で、とんでもないルーキーが突然登場し、土だらけの手で、物凄い演奏を聞かせる。しかも推薦者が、今は亡き、天才を欲しいままにした音楽家だった。
そんな出来事から始まったコンクールだったが、それに導かれるように3人のコンテスタントの運命を変えていく起爆剤にもなるのだ。
最後の書き方がすごく印象的だった。「おっ!」みたいな感じだった。
これは音楽をやっていた自分には、それとなくわかる気がした。なんとも言えない緊張感や、周りの人たちの思いとかも凄く描かれていて、その人たちも彼の登場で、どんどん思いが変わっていく様もよくわかって、清々しい感じだった。
昔習ってたことが蘇る!
この本は直木賞と本屋大賞をダブル受賞した作品です。
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タイトルだけ見たら「なんかの叙情的なやつなんかな」と思って手に取ったのですが、1Pに「芳ヶ江国際ピアノコンクール 課題曲」という文字!
ピアノコンクールの話だったんです。
私も幼少期にヤマハ音楽教室でピアノを習っていて(習わされていて)コンクールとかにも出た経験があります。といっても、そんなに記憶ないけど。
ただ、この漫画は(ドラマ)は好きでした!
この「みんなで高め合っていく感じ」とかが好きなんですよね。
天才少女の復活劇に、胸がジーンと!
で、この作品で特に注目した人物は「栄伝亜夜」でした。
天才少女と言われ、母親とともに若くしてプロのピアニストとして華々しくデビューした彼女。それが母親が亡くなったことをきっかけに、スランプになり、ついにはリサイタルの最後の曲を演奏前に逃亡し、そこからはピアノには触らない日々を過ごします。
そんな彼女が、復活のきっかけをくれるのが「風間塵」、いわゆるこの物語のキーパーソンである「異端児」です。
彼の音楽性に親和されていくように、どんどんと覚醒していき、最後には
「自分の中には、ちゃんと音楽家としての血が流れていたんだ」
ということに気づいていきます。
こういう
「お互いを高めあえるような仲間に出会う」
という場所があるというのは、とても良いなと思います。
自分にも、何かしらそういった場所があると良いなと思います。
音楽の世界に少しでもいた方には、オススメですね。演奏の描写は、バックグラウンドの事も書かれていて、とても読みやすかったです。
読むのに時間はかかりましたが、自分としては読みやすい部類だったと思います。500ページ以上ありましたが。
というわけで、ありがとうございました。