【司法書士業務】家族に不動産を託す方法は「遺言だけじゃない」のです

相続の手続きは大変なことであるのは、ここでも何度か書かせて戴いております。


【司法書士業務】相続登記をするにあたって | 不動産登記 | ミナトノキズナ

そういった意識のある方は「今の間に家族のために何かしておこう」いわゆる「終活」にご興味があるのではないでしょうか。

一般社団法人 終活カウンセラー協会
こんな団体もある様です

私たち司法書士に関わることであれば「自分が亡くなった後の不動産の引き継がせる方」を決定することでしょうか。

それを形にするときに、まず思い浮かぶのが「遺言」。特に「公正証書遺言」なのではないでしょうか。私も何度か公正証書遺言について書かせてもらっています。

【司法書士業】あらかじめの準備って大切ですよね | 不動産登記 | ミナトノキズナ

【司法書士業務】遺言書の書き方:たった一文抜けるだけで命取り! | 不動産登記 | ミナトノキズナ

ですが、実を言うともうひとつ選択肢がございます。それは…..「死因贈与契約」です。

「死因贈与契約」って

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死因贈与契約とは、贈与契約の一種です。読んで字のごとく「死ぬことをきっかけとして(死因)贈与するというもの」という意味です。おおざっぱに言えば「自分が死んだら、自分の財産を○○に贈与する」というような内容になります。

遺言書でも「自分が死んだら、自分の財産を○○にあげる(相続させる)」と書くこともできますよね。何が違うのでしょうか?

遺言では「(相手がどうであれ)自分があげたいと勝手に決めること」ができます。それに対し、死因贈与はあくまでも「契約」ですので、財産を受ける方(いわゆる受贈者)が承諾しなければ成立がしません。一人で勝手にはできないということです。

では、こうすることの何がメリットなのでしょうか?

立会人を用意しなくてもよい。

「公正証書遺言」の場合、遺言者のほかに立会人を2名用意する必要があります。民法969条)この立会人を2枚用意するのが厄介事の一つです。

立会人には誰でもなれるわけではなく(民法974条)「相続人」や「利害関係人」以外の方、いわゆる第三者(アカの他人)を呼ばなければなりません。普通は専門家とその事務員さんなどを揃えていく事が多いと思います。

それに比べ、死因贈与契約は契約当事者、つまり「受贈者(もらうひと)」と「贈与者(あげるひと)」の2名だけでいいのです。この契約に関係ない第三者は連れて行かなくてもいいのです。

いろいろはっきりしている事がいい

遺言の場合、公正証書遺言については、ほぼ公開されているとはいえ、基本的には「遺言者がひとりで行うこと」です。仮に「俺が死んだら、この不動産やる」と言われた場合、もらう方は必ずしも嬉しいとは限りません。(例えば、メチャクチャ遠方のほうの猫の額ほどの土地など…)

それに比べて死因贈与契約は、もらう方も当然契約に絡みますからある程度の覚悟と言いますか「今後の流れがはっきりする」ということです。ある程度分かっていた方が安心する場合もあります。

終活の一環でもある「今後の不動産名義の決め方」についてお悩みの方。ぜひとも私までご連絡ください。お待ち致しております。

死因贈与契約公正証書|公正証書作成ガイド
詳細については、こちらも参考にしてみてください

本日はここまでにしておきます。有難うございました。

この記事を書いた人

岡田 英司

神戸市にある湊川神社の西側で司法書士業務をおこなっております。

業務のこともそうですが、Apple製品、読書、習慣化その他雑多なことも書いていくことで「自分をさらけ出していって、少しでも親近感のある司法書士でありたい」と考えております。

お気軽に読んでいただければ嬉しいです。